本年3月決算から始まった
グループ法人に該当していたら、グループ内の各法人間の完全支配関係を系統的に
示した「出資関係図」、すなわち法人家系図のようなものを確定申告書に添付しなければ
なりません。今年の3月決算法人からこの提出義務があることになりました。
完全なものを作ることは可能か
国税庁の公表する質疑応答事例でも、出資関係図には、期末における完全支配関係が
あるすべての法人を記載するべきところ、把握できなくて漏れがあっても構わないこととして
います。
法人株主に限っても、大規模法人になると把握できないかも、と言っていますし、
個人株主となると、完全な出資関係図の作製は絶対に不可能です。
個人株主の場合の作成範囲
個人株主の場合は、個人株主の親族関係者全体を一株主のように見るので、一の個人株主
の範囲に含まれるのは、
① 株主等の親族
② 株主等と事実婚の者
③ 株主等の使用人
④ 株主等が生活の面倒をみている上以外の者
⑤ 上記②③④の者の親族
と、いうことになっています。
個人の親族というだけでも、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族で、この範囲ですら
親族付き合いをはるかに超えています。まして、親族の誰かのお妾さんの親族、などという
範囲など補足しようがありません。
不完全な系統図は税務署が完全にする?
グループ法人税制は、完全支配関係があるグループであることを把握していたかどうか、
知っていたかどうか、 にかかわらず、適用があります。
そうすると、完全な「出資関係図」の作成が絶対的必要事項になります。さもないと、
わかる範囲でのグループ法人税制ということになり、あるべきグループ法人税制として
法の予定する執行が不可能になります。
完全なものの提出が困難ということを前提にして、不完全な「出資関係図」を完全なものに
する税務署の仕事が新たに生まれたようです。
渋谷区 税理士
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