株式等を譲渡した場合の課税関係

 
 株式等を売却した場合の所得金額に対する確定申告は、申告分離課税のみの
 適用となります。
 
 しかし、特定口座で源泉徴収口座を開設していれば、その特定口座における上場株式等
 の売却による所得を申告不要とすることができます。
 
 株式等に係る譲渡損益の通算は、上場、非上場を問いませんが、譲渡損失の3年間の
 繰越控除の対象となるのは上場株式等から生じた譲渡損失のみです
 
 また、上場株式等の譲渡損失は、上場株式等の配当等との損益通算が可能ですが、
 いずれも、原則、確定申告(申告分離課税)が必要です。
 
 但し、源泉徴収口座に上場株式等の配当等を受け入れることによって、口座内の
 上場株式等の売却により生じた譲渡損失と損益通算した金額を基に源泉徴収税額が
 計算されますので、申告不要とすることもできます。
 
 なお、損益通算後も控除しきれない譲渡損失は、同様、確定申告をすることによって
 翌年以後3年間繰越控除ができます。

                                        
渋谷区代々木 税理士

 


配当等を受けた場合の課税関係


 上場株式等の配当等については、その支払の際に10%の税率による
  源泉徴収がなされます。
  確定申告は選択で、確定申告しないを選択した場合は、1回に支払を受ける配当等の額
  ごとに選択(申告不要)、源泉徴収口座内の配当等については、口座ごとに選択可能です。
  また申告を選択した場合は、申告する上場株式等の配当等のすべてについて総合課税
  又は申告分離課税のいずれかを選択しなければなりません。

(1)総合課税を選択した場合

 所得の多寡によって、所得税率が5〜40%の累進税率、住民税は10%の適用です。
 なお、配当控除の適用があります。

(2)申告分離課税を選択した場合

 税率は配当所得の10%、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能ですが、配当控除
  の適用はありません

 

                                                                                渋谷区代々木 税理士

 

 業種別平均給与


  業種別にみると、最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の696 万円(前年630万円、
 前々年675万円)、次いで金融・保険業の589 万円(前年625万円、前々年649万円)
 となっており、最も低いのは宿泊業,飲食サービス業の247 万円(前年241万円、
 前々年250万円)です。

 東電をはじめとする、原価プラス利益で販売価格を定める、電気・ガス・水道など
 公営的非競争独占企業の平均給与がダントツに高く、伸び(対前年66万円増)も大きく、
 新規参入しやすい飲食サービス業の年額で3倍近く、伸び(対前年6万円増)で11倍にも
 なっています。

 法律によって守られ、景気変動に左右されない企業が過剰に保護されている印象
 があります。

                                                                                    渋谷区代々木 税理士 

 (1)相続税の連帯納付義務


  連帯納付義務については、次の場合には解除することとしています。
    ①申告期限等から5年を経過した場合(ただし、5年を経過した時点で連帯納付義務の
     履行を求められているものは解除できません。)
 
    ②納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合
 
    上記改正は、平成24年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税について
    適用されます。但し、同日において滞納となっている相続税についても、
    上記の改正と同様の扱いとなっています。


(2)住宅取得等資金贈与の非課税措置

    直系尊属からの住宅取得等資金の贈与は、適用期限を3年延長、取得する
    住宅(床面積240㎡以下)の内容により、年度ごとに3段階の非課税枠を定めています。
    
    ①省エネ・耐久性を備えた良質な住宅
       平成24年贈与:1,500万円、25年贈与:1,000万円、26年贈与:1,000万円
    ②上記①以外の住宅
       平成24年贈与:1,000万円、25年贈与:700万円、26年贈与:500万円
 
     上記の改正は、平成24年1月1日以後の贈与から適用です。

                                    渋谷区代々木 税理士

 注目される制度改正をピックアップします。

  ① 給与所得控除の見直し
  ② 退職所得課税の見直し
  
  この①と②は昨年の改正予定で積み残しとなったものなので、2番煎じ的なものです。

 同じく積み残しの相続税増税・「納税者権利憲章」策定などは姿を消しています。

 
  【給与所得控除の見直し】

  イ 給与所得控除の上限設定
    給与収入が1,500 万円を超える場合の給与所得控除額については、
    245 万円の上限が設けられます。
  ロ 特定支出控除の見直し
   〇弁護士、公認会計士、税理士などの士業資格の取得費が特定支出の範囲に
     追加され、図書費、衣服費及び交際費等の「勤務必要経費」も、
     特定支出の範囲に追加されます。

   〇給与所得控除の2分の1の額も特定支出の範囲に追加されます。


  【退職所得課税の見直し】


   役員等としての勤続年数5年以下の者が受ける「役員退職手当等」については、
   2分の1課税の措置が廃止されます。
    「役員等」には、通常の法人役員のほか、国会議員及び地方議会議員、
   国家公務員及び地方公務員が含まれます。

渋谷区代々木 税理士
  

通勤手当の非課税の範囲が変わります。
車等の通勤の方には 社内検討が必要になってきそうですね。

15キロメートル以上の場合の特例廃止


通勤距離が片道15 キロメートル以上の自転車・自動車等利用通勤者で、交通機関を
利用した場合の運賃相当額を通勤手当として受けている場合には、
その金額を距離別非課税限度額(10万円限度)とすることが出来ることになっていましたが、
今年の税制改正で、この部分が廃止されました。
この改正は、平成24 年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用されます。

改正要望は国土交通省

国交省は、交通手段を公共交通機関の利用に選択誘導し、環境負荷の適正化に資する、
とともに、マイカー利用者に実費を基準とする額を超えて非課税措置が適用されている歪みが
あるので、適正化する、と昨年の税制改正要望に記していました。
しかし、マイカー利用者の利用実費(燃料費ほか維持費等と車両代)が距離別非課税限度額
に満たないという歪みがあるという認識には誤解がありそうです。


渋谷区代々木 税理士

会社で支給する通勤手当は 一定の金額まで非課税となっていて
下記のようになっています。

通勤手当非課税の規定

通勤手当非課税は所得税法に定めがありますが、無制限非課税ではなく、政令で
通勤手当の諸態様に応じた1ヶ月当りの非課税限度額が定められています。
通勤手当の態様と非課税限度額は次のように大きく4つに分類されます。
① 通勤定期券の現物支給を受けている場合のその通勤定期券(10万円限度)
② 交通機関利用者の自己負担通勤費の補填として受ける通勤手当(10万円限度)
③ 自転車・自動車等利用通勤者が受ける通勤手当(距離別非課税限度額)
④ 上の②③の両方の利用者が受ける通勤手当(②と③の合計額で10万円限度)


距離別非課税限度額とは


 自転車・自動車等利用通勤者の受ける通勤費については、距離別非課税限度額が次のように
 定められ ています。
片道通勤距離    非課税限度額
2キロメートル未満   なし(全額課税)
10キロメートル未満     4,100円
15キロメートル未満     6,500円
25キロメートル未満    11,300円
35キロメートル未満    16,100円
45キロメートル未満    24,500円



渋谷区代々木 税理士

債務超過子法人の清算での想定外


グループ法人税制では、完全支配関係にある親子会社間で、子会社が解散した場合に
親会社が「子会社の未処理欠損金額を引き継ぐ」ことになり、その代わり子会社
株式消滅損は認識しません。
ところで、解散子会社の残余財産確定までに、親会社において子会社株式の評価損を
子会社の資産状態の著しい悪化を理由に計上してしまえば、子会社株式消滅損は
生じなくなり,それでも未処理欠損金額の引継ぎはできました。


損失の二重計上だとして法改正


導入1年目の昨年度では、上記のような評価損計上の可能性について、立法当局において
事前に気付かれていなかったようで、本年度の税制改正では、このような評価損は損金算入
できないものとすることとされました。

具体的には、

①清算中の内国法人

②解散をすることが見込まれる内国法人(除く合併解散)

③内国法人でその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人との間で適格合併
  を行うことが見込まれるもの

この3つの子会社株式の評価損が損金算入できないこととなりました。
この改正は,改正法の施行日である6月30日以後に行われる評価換え等から適用されて
います。
子会社株式の売却損でも同じ
 グループ関係の会社が複数あるとき、債務超過欠損子会社株式をグループ内の他の
法人に売却するとした場合には、譲渡法人に売却損が計上され、譲り受け法人に
未処理欠損金が引継がれることになります。
ただし、グループ法人内での譲渡で帳簿価額1000万円以上のものについては、
譲渡損益はそのままでは計上できないので、会社の解散・清算による消滅の時まで、
損金算入時期が遅れることになります。
すぐ評価損をするのではなく、タイミングの遅れた譲渡損でもよいとするならば、
別々の会社にではありますが、株式の損失計上と未処理欠損金の引継ぎとの両方の
計上は相変わらず可能です。抜け穴ふさぎをしたつもりなのでしょうが、来年度は
グループ内譲渡損の計上否認の税制改正をしないと、不完全です。

                                              渋谷区 税理士

税務調査で否認もある


 業界によっては従業員の一部を、一人親方(個人事業主)として「外注費」処理している
会社も多く見かけられます。税務調査では、「外注費」ではなく「給与」になるのでは?
という指摘をうけることがあります。否認されますと、給与の源泉所得税の徴収漏れとして
追徴されるだけでなく、消費税について仕入税額控除の否認という、まさにダブルパンチ
の状態になってしまいます。


線引きはどこになるのか?


「外注費」と「給与」の線引きについて一般的に、請負契約・委任契約・事務管理契約に
基づくものは「外注扱い」 雇用契約に基づくものは「給与扱い」としますが、税務調査では、
実態をみられます。

 給与扱いとされないためには、以下の要件が充足するようにしておくとよいかと思われます。

①受注する側が自分で請求金額を計算して請求しているか?

②発注者が受注先に発注した仕事が他人でも代替できるものであるか?

③発注者の指揮命令を受けることなく、自分の判断で業務を行えるか?

④請負契約の場合、結果の出ていない役務の提供に対して対価を支払っていないか?

⑤材料や用具等を発注者から供与されていないか?

受注する方が一個の事業者として反復・継続・独立して事業を営んでいることが重要に
なります。
独立とは自己の責任で仕事を完成することであり「万一、自分に不測の事態が生じたときは、
責任をもって、代理の要員を確保して、仕事に支障のないようにする。」等の文言が、
契約書に明示されていると給与認定しにくくなります。


資料を整え、体制を整えることが重要


税務調査で給与課税されないためには、やはり常日頃の準備が必要になります。
受注する側が自分で事業所得の確定申告をしていることが重要で、会社側としても
確定申告への協力体制を整えるべきです。

外注費は、件数が多ければ、かなり金額が大きくなり、もし税務調査で給与課税されれば、
そのダメージはかなり大きくなりますので、その仕事の内容をよく確認して、慎重に対処して
おくことが必要です。


渋谷区 税理士

 消費税の申告及び納付において、課税売上割合の計算は重要です。課税売上割合は、
分母の額は「その課税期間中の国内における資産の譲渡等の対価の額」、そして、
分子の額は「その課税期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額」です。

 なお、割合計算において留意すべき点は、
①分母及び分子の対価の額から「対価の返還等の金額」を控除する
②税抜きで計算する
③貸倒れ分は控除しない
④輸出免税は課税資産の譲渡等に含む
などです。


資産の譲渡等と課税資産の譲渡等


 資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに
役務の提供をいい、一方、課税資産の譲渡等は、資産の譲渡等のうち法令に基づいて
消費税を課さないこととされるもの(非課税資産の譲渡等)以外のものをいいます。

結果、分母の資産の譲渡等の対価の額は、「課税資産の譲渡等の対価の額」と消費税が
課されない「非課税資産の譲渡等の対価の額」の合計額です。
なお、資産の譲渡等の対価に該当しない受取配当金、損害賠償金、受取保険金、
還付加算金、補助金等は、いずれも分母、分子の金額には含まれません。

        
分母を構成する非課税資産の譲渡等


 全ての非課税資産の譲渡等の対価の額が単純に分母に算入されるのか、というと
そうではありません。非課税資産の内容等によってその対価の額について調整が
なされています。主なものは次の通りです。

(1)対価の額の全額が除外されるもの

 ①本来対価を得るために引渡す通貨などの支払手段の譲渡(手形の割引等も含む)
 ②売掛金など資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡などがあります。

(2)対価の一定金額が算入されるもの

 ①貸付金その他の金銭債権を譲受けについてはその対価である利子
 ②有価証券等の譲渡の対価についてはその対価の5%相当額などがあります。

この理由ですが、課税売上割合の算定目的からみて分母算入が適当でない内容や
対価があり、事業者が不利にならないようにするための配慮であると言われています。
 なお、合名、合資会社又は合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員等の持分、
貸付金、預金、金銭債権の譲渡(資産の譲渡等の対価として取得したものを除く)である
場合は、その譲渡対価の全額を分母に含めることになります。


渋谷区 税理士

寄附金控除の今年の税制改正


(1)国、地方公共団体、日本赤十字社及び中央共同募金会等への義援金については、
  総所得金額等の80%を限度に寄附金控除(所得控除)ができます。

(2)被災者支援活動を行う認定NPO法人等が募集する特定震災指定寄附金については、
  もし寄附の全額がその特定震災指定寄附金だったら、総所得金額等の80%を限度に
  寄附額の40%を寄附金控除(税額控除で所得税の25%を限度)とすることができます。

(3)日本赤十字社や中央共同募金会、国などに義援金として寄付する場合にも
  「ふるさと納税」扱いとなり、住民税の寄附金控除の額が手厚くなります。

 以上の寄附金控除には国税で2000円、住民税で5000円の足切りがあります。

(4)6月30日施行の平成23年度税制改正で特定寄附信託制度が創設されました。

非営利団体への計画的寄附を目的に金銭を信託した場合の寄附金控除と利子非課税
の特例措置が設けられています。


寄附金控除に寄附促進効果があるのか


寄附金控除の制度創設や拡充が日本の寄附文化の醸成に貢献しているか、についての
関西社会経済研究所調査報告があります。
●震災から約3ヵ月間の1人当たりの寄附支出額は9443円でした。寄附金を階級別
にみると、最も割合で高いのは「2000円以上5000円未満」の19.0%で、
「1万円以上2万円未満」は12.9%、10万円以上は1.3%でした。
世帯所得が1千万円以上になると、1人当たり寄附支出額が急増し、
また、寄附は件数でみると1万円未満の小口が71.1%と圧倒的ですが、寄附総額への
貢献は大口が85%を占めています。
●寄附者のうち「寄附金控除」を震災寄附の誘因とした人は19.1%。
つまり、80%以上の寄附者が、寄附金控除の有無に拘わらず寄付しています。


手厳しいまとめ


上記調査の「まとめ」によると、寄附金控除の拡充が寄附行動に及ぼした効果は小さく、
不必要な政策であり、寄附金控除は高所得者層に対する寄付促進効果を持つものの、
税収を減少させるマイナス面があるので、詳細に検証する必要がある、と手厳しい結論
になっています。
しかし、もっと長い眼でみる必要もあるように思われます。

                                              渋谷区 税理士

労働基準法で規定されている年次有給休暇の他に慶弔休暇等の特別休暇制度を設けて
いる企業は多いと思います。ただ、休暇の対象者や日数や休暇中の賃金の支払いの有無
などを明確にしておかないと思わぬトラブルになることがあります。


特別休暇とは


 特別休暇は法令に基づくものではなく、福利厚生の一環として恩恵的に与える休暇ですので
必ずしも設ける必要はありませんが、制度として設けている場合には休暇の扱いを規定に
載せる必要があります。規定する際は運用が曖昧にならないようルールを明確にしておく事が
必要です。


慶弔休暇の考え方


 会社によって特別休暇は様々な制度がありますがどの会社も設けているのは慶弔休暇
でしょう。従業員が慶弔の為に休暇を取った場合、賃金の支払いの有無は会社で自由に
決めておく事が出来ますが、無給の特別休暇の場合、年次有給休暇が残っていれば
そちらを取得するでしょうし、特別休暇としての意味もあまりないものと思われます。
特別休暇の本来の趣旨である福利厚生という観点から見れば有給にすることが適当
かもしれません。


特別休暇制度の規程の注意点 


 特別休暇は項目ごとに○日と決めてあると思います。特別休暇中に土曜日や日曜日を
挟む場合は休日をその日数に含めるのか含めないのかも問題となります。もともとの休日
である日は労働義務のない日であり、休暇の考え方は無いものと思いますが特別休暇は
会社が自由に決めてもよいので土日を含んでも構いません。また、休暇は連続取得に
限るのか分割取得は可能かということもあります。さらに取得できる期間はあるのか、
対象者は正社員だけかアルバイトやパートにも適用するのかなども規定することが
大事でしょう。


慶弔休暇の規程は曖昧さをなくして


 例えば休日を含むのであれば
・「特別休暇は暦日で計算し、休日も含む。」
・「本人の結婚の際は連続7暦日(入籍日より半年以内の取得に限る)」
・「配偶者、子、実父母の死亡の際は死亡の日より連続5暦日、
  但、本人が喪主の場合は7暦日」
等として具体的に示しておくのが良いでしょう。


渋谷区 税理士

雇用促進税制とは、前年より従業員を一定以上増やす等の要件を満たした事業主が
法人税(又は所得税)の税額控除が受けられる制度で雇用促進をはかる目的で
創設されました。適用を受けるためには、あらかじめ「雇用促進計画」の提出が必要です。


雇用促進税制の概要


①平成23年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に始まるいずれかの事業年度
  (個人事業主はH24,1,1〜 26,12,31まで)において、 

②雇用者5人以上、(中小企業は2人以上)増やし、前年度の雇用者総数に対する増加数
  が10%以上であった企業に対して ③雇用増加数1人当たり20万円、
  中小企業は当期法人税額の20%を限度として税額控除が受けられる制度です。


確定申告までの流れ


 雇用促進税制の適用を受けるためには、対象となる事業主の要件をチェックし、
条件が備わっている事の確認をしましょう。

①事業年度開始時
 事業年度開始時2ヶ月以内に目標の雇用増加数を記載した
  「雇用促進計画」を作成し、納税地を管轄するハローワークに提出します。
  計画書-1は計画開始時の雇用者数や増加予定数を記載、計画書-2は求人の
  申込み予定の内容を具体的に職種や労働条件を記載します。添付書類は
  雇用保険適用事業所設置届の写しです。

②事業年度中
 ハローワークが新規の雇入れを支援します。最寄りのハローワークに
  求人の申込みをします。ハローワークでは受け付け後、近隣や広範囲のハローワーク
  に求人情報を流してくれます。

③事業年度終了時
 事業年度終了後2カ月以内に(個人事業主については3月15日まで)
  ハローワークに雇用促進計画の達成状況の確認を求めます。必要書類は雇用促進計画-1
  に雇用増加数を記入し、返信用封筒(簡易書留とする)も提出します。
  この提出は計画期間中の雇用保険一般被保険者の取得届・喪失届の提出後、
  2週間程度経過後に行うようにします。

④達成状況の確認後
 確認を求めた後、ハローワークからは2週間から1ヶ月程度を経て、
  雇用促進計画-1が返送されてくるので税務申告期限に間に合うように留意しましょう。

⑤税務署に申告
 達成状況の確認を受けた「雇用促進計画」の写しを確定申告に添付して
  申告します。


渋谷区 税理士

マイナスはなかった以前とネーミング


 資本積立金については、平成13年の改正でマイナスの発生があり得ることとなり、
平成18年からは「資本金等の額」とネーミングされるようになりました。
 利益積立金も同じで、そのマイナスとなったときの不都合がさまざま指摘されたところで、
不都合への対処として法令改正が何度もなされています。


第一は自己株取得とみなし配当


平成19年度の法人税政令の改正で、「自己株式を取得する直前の資本金等の額」が
ゼロ以下である場合は、所有株式に対応する資本金等の額及び減少資本金等の額は
「ゼロ」とすることとされました。
みなし配当の計算においても、マイナス資本金等の額の場合、交付金銭等の全額が、
株主に対するみなし配当となることとされました。
その他、資本の払戻しや分割型分割の場面でも同様の問題があるので類似の改正が
されています。


第二は清算所得の廃止


残余財産−資本金等−利益積立金=清算所得
清算所得課税の公式はこの通りだったので、これだと、赤字つづきの会社が清算すると、
マイナスの利益積立金についてのマイナス計算になり、課税所得が生ずることになって
しまう不合理をもたらします。実務では資本金等と利益積立金のマイナスは清算所得計算上、
法律を無視して、ゼロと扱っていました。
この不都合を解決するために、平成22年度の法改正で、清算所得課税制度を廃止して
しまいました。


第三は債務免除益への課税回避


残余財産がないと見込まれる場合には、期限切れ欠損金(マイナス利益積立金)の
損金算入が認められる、との平成22年度税制改正を承けてさらに、マイナス資本金等
の額も損金算入することができるとの本年、平成23年度税制改正がありました。
清算年度での債務免除益課税が起きないようにするためです。
これは、一見、資本と利益の混同のように見え、事実そうなのかもしれませんが、
譲渡損や評価損として損金算入されていたものが、法改正で資本金等にされることが
多々あるようになったことを承けてのことと考えられます。


渋谷区 税理士

償却計算の平成22年改正


 平成13年から、減価償却は「各事業年度終了の時において有する」資産を対象とする、
という規定になっています。
ただし、適格組織再編により資産の移転がなされるときは事業年度末とは限らないので、
その移転日の前日を年度末とみなして償却計算をすることができるとされています。
これを「期中損金経理」と言うと規定されています。昨年改正でこの仲間に適格現物分配が
含まれるようになりました。


譲渡損益調整資産の場合の公開情報


 それでは、期中に譲渡や滅失や非適格組織再編やで、期末に存在しなくなる資産に
ついての償却費については、「期中損金経理」をしてもよいとの規定がないので、
損金算入できないのでしょうか。
 グループ法人税制についての平成22年10月6日付公開情報によると、
譲渡損益調整資産についての譲渡時点までの「期中償却額」は損金算入となり、
譲渡損益調整資産の帳簿価額1,000万円の判定も期中償却額控除後による、
としています。


どういう理解をすればよいか


期末に存在する資産、そして適格現物分配等での期中移転資産については減価償却に
関する規定がある、ということは確かなことです。
それに対して、期末に存在しない期中異動資産で、異動事由が適格現物分配等でないもの
については、減価償却に関する定めはありません。定めが無いのだったら償却して
よいのか、よくないのか。
ここが思案のしどころですが、定めが無いのだから、償却してよいのだ、と理解すると、
当局から披歴されている色々な文書情報のつじつまが合います。


期中異動資産の償却原理


そうすると、期末に存在しない期中異動資産に係る償却規定の理解を整合的にまとめると、
次のように言えることになります。

① 償却費の計上が許される適格再編の「期中損金経理」規定は、優遇規定なのではなく、
  2ヶ月以内の税務署への届け出を課した制限規定である。

② 適格再編以外での期中異動資産については、別段の定めが無いので、会計慣行による
  「期中償却額」がそのまま損金算入となる。

                                              渋谷区 税理士

ディスカウント債とは


募集広告で目にする「ディスカウント債」は、最近人気があるようです。
ディスカウント債とは、「利付債」と「割引債(ゼロクーポン債)」の2つに分類される債券の
種類のひとつで、この両分類の両方の性格を併せ持ったものです。
 利付債と同様に定期的に利子を受け取ることができ、しかも割引債のように額面から
一定額が割り引かれて発行されるので、最終的な実質利回りが相当に高いことを
セールスポイントにしています。


債券は国や企業などの借用証書

債券の発行の時点で、額面金額や利率、返済日(償還日)が決まっていて、利付債の
場合は、発行時に支払ったお金が償還時にそのまま戻り、保有期間中は、月1回とか
年2回とか決まった利払い日に決まった利子が支払われます。
それに対し、割引債には保有期間中の利子の支払いがなく、その代わり、額面より安い
金額で発行され、償還時に額面金額が戻ってきます。


ディスカウント債の税制


ディスカウント債は、一般の利付債と同じ課税関係です。利子は20%の源泉分離課税
となります。ただ、もともと利率が低いので負担感はそれほどないでしょう。
償還差益は雑所得としで総合課税されます。発行価格が低い分、償還差益は多く、
給与所得など所得合算で課税されるので、税負担は無視できません。
ただし、償還期間に応じた利率制限(7年未満の場合0.1%以上など)を充足していれば、
償還前譲渡による利益は非課税です。償還直前の譲渡益なら償還差益とあまり変わらない
ので、税制有利選択を前提にすると税引き後実質利回りは一段と良くなります。


新興国のものが目立つ


 ブラジルレアル、南アフリカランド、インドルピーなど新興国の通貨建て債権が
目立っています。年利率は0.5%程度ですが、償還による最終利回りが10%を超えて
いるものが多数です。
ただし購入には、発行体の信用リスク、為替変動リスクがあることをきちんと理解して
おくことが肝要です。


渋谷区 税理士

被扶養者の認定範囲


 健康保険では被保険者に扶養されている家族も条件を満たせば保険給付の対象者
 となります。この家族を被扶養者と言いますが、被扶養者の認定範囲は
 
 ①被保険者の3親等以内の親族で、
 ②主として被保険者により生計を維持されている事が必要です。

 
 被保険者と同居(同一世帯)でなくてもよい人は
 ①配偶者(内縁関係含む)、②子、孫、③弟、妹、④父母などの直系尊属

 同居が条件となる人は①上記以外の3親等の親族②内縁の配偶者の父母及び子です。


被扶養者認定における生計維持と年収要件


 生計維持関係の判断目安となる年収額は、

①被保険者と同一世帯にある場合

 年収が130万円未満(対象者が60歳以上又は一定の要件に該当する障害のある方は
180万円未満)で、かつ被保険者の年収の2分の1未満である事。但し、2分の1以上で
あっても年収が130万円未満で被保険者の年収を上回らず、世帯の生活状況から考えて、
生計を維持されている事が認められる場合には被扶養者になることが出来ます。

②被保険者と別居の場合

 年収が130万円未満(①と括弧内同)で、かつ被保険者からの仕送り等の援助による
額より少ない事です。


雇用保険の失業給付等の受給


 被扶養者となる人が失業給付等を受給している間は収入があるため被扶養者とは
なりませんが、受給期間が終了した時点で被扶養者の認定を受ける事ができます。但し
自己都合退職による離職で3ヶ月間の受給制限期間は被扶養者になることが出来ます。
また、失業給付日額が低い時は被扶養者になれる場合もあります。


添付書類は


①所得に関する証明書(妻については証明を必要とされない場合が多い)
②在学証明書(16歳以上の子、孫)
③年金額のわかる書類 年金は受給している全ての年金の証明が必要
④別居の場合は、仕送り等の事実や金額のわかる書類
⑤同居が条件となる被扶養者は住民票等
 健康保険組合によっては確認事項の現況届等の提出を求められるところもあります
ので各組合にご確認ください。


渋谷区 税理士

子ども手当と児童手当


 子ども手当は民主党が平成21年のマニフェストに掲げた目玉政策で、社会全体で子育て
 世帯を支えるという理念に沿って、平成22年度から中学生までの子どもを対象に、
 所得制限なしに一律で月額13,000円を支給しました。
 児童手当は子ども手当の導入前に実施されていた政策で、年収800万円程度のところに
 所得制限を置き、額は、1人目または2人目であれば、月額5,000円、3人目以降であれば、
 月額10,000円、3歳未満の児童に対する児童手当の額は、出生順位にかかわらず一律
 10,000円支給でした。


3党合意の新こども手当


 民主・自民・公明3党は8月4日に子ども手当の見直しで正式に合意し、今年10月から
 一律の支給額を変更し、0〜3歳未満は15,000円、3歳〜小学生は10,000円
 (第3子以降は15,000円)、中学生は10,000円とすることにしました。
 さらに、来年度には子ども手当を児童手当に衣替えし、支給対象を世帯年収960万円
 以下とする 所得制限が設けられます。


年少扶養親族控除も子ども手当てもない


 子ども手当の導入に伴って年少扶養控除(所得税で38万円)が廃止されており、
 さらに今後、年収960万円で所得制限が設けられると、夫婦でそれぞれ500万円づつ
 稼いでいる子育て家庭では控除も手当もなくなります。


年少扶養控除廃止と子ども手当での補填


 年少扶養親族控除が廃止されたことにより、所得税(5〜40%)と住民税(10%)は
 下記のようにそれぞれの税率段階に応じて、扶養親族1人当たりの税額が増えています。
 38× 5%+33×10%= 5.20万円
 38×10%+33×10%= 7.10万円
 38×20%+33×10%=10.90万円
 38×23%+33×10%=12.04万円
 38×33%+33×10%=15.84万円
 38×40%+33×10%=18.50万円
 所得税率33%、40%ラインの人は、今後子ども手当支給対象外です。
 共働き世帯では、23%ラインの人も対象外でしょう。20%ラインのところで、
 税の増を子ども手当の支給でやっと補填している状況です。
 子育て世代に優しくない税制がこのままでよいのか、疑問になります。


渋谷区 税理士

高い分配金という魅力


 高い分配金を掲げた投信が人気を集めており、その高さの魅力に引かれて、毎月分配型
 の株式投資信託に投資しているという人がいると思います。
 受け取る分配金には、特別分配金と普通分配金があり、源泉分離課税の場合でも、
 申告分離課税の場合でも、特別分配金には課税がされません。非課税分配金なんて
 美味しそうな話ですが・・・・
 それがどう違うのか、ここでおさらいしたいと思います。


勘違いをしていませんか?分配の原資


 追加型の株式投信の場合、運用が始まった後も時価(基準価額)で購入できます。
 税金計算では、この実際に買い付けた価格を個別元本とみなします。
 比較的多くの人が勘違いしていますが、投信は分配金が出るとその分だけファンド外
 に資産が流出し、基準価額が下がります。
 この分配落ち後の基準価額が個別元本を割り込まなければ分配金は利益から支払われ
 ていることになり、これを普通分配金と呼びます。

 普通分配金は配当所得として扱われ、10%の税金が源泉徴収されます。
 逆に、分配落ち後の基準価額が個別元本を下回るような場合でも分配金が出ることが
 あります。投資家の元本の一部を原資に支払っているもので、これを特別分配金と
 呼びます。元本が分配金という形で戻ってくるだけなので、特別分配金は非課税になります。

蛸あし配当の特別分配金

 特別分配金はボーナスのような印象を受けますが、実際はファンドが収益を上げていなく
 ても支払われます。
 分配金の種類は郵送書類や電子交付サービスでわかるので、必ず確認すべきです。
 特別分配金の支払いが続くと基準価額が大きく下がることになります。分配金の水準だけ
 ではなく、基準価額の推移にも注目すべきです。


渋谷区 税理士

 

ミセス・ワタナベとは?


 2007年頃から東京のインターバンク市場にて、昼をはさんで午後になると大きな要因は
 ないにもかかわらず、為替相場が反対方向へ振れる現象がしばしば見られ、為替のプロ
 たちが予期せぬ損をさせられました。
 こうした状況が頻繁に起こったため、原因を探っていくと、主に日本の主婦やサラリーマン
 などの個人のFX投資家が、昼休みを利用して一斉に注文を出していたことが判明しました。
 一時は為替取引の3割以上を占め、大きな影響力を持ったため、彼女たちの逆張りに、
 海外にて「ミセス・ワタナベ」という呼び名が生まれました。


取引所と店頭の税制一本化


 ミセス・ワタナベに朗報となる外国為替証拠金(FX)の損失繰越・損益通算に関する
 税制改正が、 今年成立しています。
 取引所FXは現在、「雑所得・申告分離課税」に分類されており、税率は利益の金額に
 かかわらず一律20%。損失がある場合は3年にわたり繰越控除ができます。
 一方店頭FXは「雑所得・総合課税」とされ、損失は繰り越しできず、税率も住民税と併せた
 最高50%にも達する累進課税の対象です。
 来年1月1日以降取引分から「雑所得・申告分離課税」に統一 されることになりました。

税制一本化の範囲はもっと広い

 FXと同じく証拠金を預け、レバレッジをかけて取引を行うその他のCFDと呼ばれる株式や
 株価指数等を対象にする日経平均先物などや、更に金融商品先物取引だけでなく
 商品先物取引も含め、従来から申告分離の雑所得とされていたものが全て一本化
 されました。


今年の決済か、来年の決済か?

 FX取引では売買を決済した取引だけが、その年の確定申告の対象になります。
 店頭FX取引 を手がけ、損失を抱えてしまっている場合は決済を来年まで先送りした方が
 有利かも しれませんし、雑所得の年金所得と相殺するなら今年中の決済が必要です。
 「含み益」が大きい場合は、課税額の試算が必要です。課税所得が330万円以下なら
 年内に決済した方が納税額は少なくて済みます。


渋谷区 税理士

 

今年度税制改正の目玉


平成23年度税制改正は大ナタを振るわれて、肝心なものが国会の店晒しの憂き目を
見ていますが、そんな中で成案となったものの目玉とされているのが雇用促進税制です。
雇用の維持・促進を図るのが目的で、雇用者数の増加に応じて税額控除でき、事業規模
拡大を検討している企業にとっては意味のある制度と言えます。


使い勝手が悪そう


制度の適用には、事業年度開始時および終了時の年2回、ハローワークに雇用促進計画
の書類を提出する手続を踏まなければなりません。
「雇用促進計画」を作成し、同計画の達成状況を確認した書類の写しを確定申告書に添付
する必要があるからです。
制度適用を検討している法人としては事前の準備が必要です。


優遇内容と要件


法人税額の10%、中小企業者等であれば20%を限度に「雇用増加数×20万円」の
税額控除ができるというものです。
雇用者とは、法人の役員とその親族等と、使用人兼務役員以外の一般被保険者に該当
する者で、要件としては以下の5つです。

① 前年度と当年度で雇用主の都合による離職者がいない

② 前年度末の雇用者数よりも5人以上(中小企業者等は2人以上)増加している

③ 基準雇用者割合(=(当年度末雇用者数−前年度末雇用者数)/前年度末雇用者数)
  が10%以上

④ 当年度の給与等支給額が比較給与等支給額(=前年度給与等支給額+前年度給与等
  支給額×基準雇用者割合×30%)以上

⑤ 風俗営業等を行っていない


適用対象の期間と臨時の措置


雇用促進税制は、開始事業年度が、23年4月1日から26年3月31日である青色申告の
法人と個人に適用されます。
新法の施行が6月30日でしたから、4月1日開始事業年度の法人にも遡及適用させている
わけです。これに対応して、厚生労働省も、23年4月1日から8月31日までの開始事業年度
について23年10月31日まで受け付けるとしています。

                                              渋谷区 税理士

修正申告は、既に提出した確定申告の税額が過少(純損失等が過大)であったとき、
原則、納税者の自発的な意思に基づいて、税額の増額(純損失等の過少)修正をする
申告手続きです。
 しかし、例外的に各個別税法、租税特別措置法の規定により修正申告が義務付けられて
いるものがあります。これが義務的修正申告です。


義務的修正申告とは


 具体的には、収用交換等により代替資産をした場合や特定事業用資産の買換えを
した場合など、ある年分の確定申告において暫定的に処理しておいたものが、その後の
年において確定し、結果として、特例の適用要件を満たさなくなったり、または代替資産等
の取得価額に変更が生じ、課税標準又は税額が増加した場合に提出する申告書です。


義務的修正申告書の提出期限等


 この義務的修正申告の提出期限は、原則、それぞれ定められた事由が確定した日から
 4か月以内です。
 また、増加した税額も当該期限内にその税額を納付しなければならないことになっています。


義務的修正申告と附帯税


 義務的修正申告書がその提出期限内に提出されたときは、その修正申告は期限内申告
 とみなされ、この義務的修正申告による増差税額について過少申告加算税や延滞税と
 いった附帯税は課されないことになっています。


課税の適正化に向けた対応


 この義務的修正申告には、附帯税の免除といった恩典があるにもかかわらず、提出期限
  の遵守がなされなかったのでしょうか。

 そこで、昨年の税制改正では、この義務的修正を怠った場合には、秩序犯として、
  1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになりました。

 さらに、今年の税制改正(平成23年6月30日公布・施行)では、故意の申告書不提出
 によるほ脱犯が創設され、提出期限までに提出しないで所得税を免れた者は、5年以下
 の懲役、500万円以下の罰金に処されるか、又は併科されることになりました。

 なお、この罰則規定は、公布の日から起算して2月を経過した日以後、つまり今年の
 9月以降の違反行為から適用になりますので、留意が必要です。


渋谷区 税理士

 

雇用保険の給付額5年ぶりに上がる


 雇用保険の失業等の給付の支給限度額は毎年8月に改定されます。この額は毎年下
 がり続けていましたが、今年は引き上げられました。この背景には毎月勤労統計調査の
 平成22年度の平均給与額が前年度と比べて約0.3%上昇したことに加えて、雇用保険
 の基本手当の算定基礎となる「賃金日額」の下限額引き上げ等を内容とする「改正雇用
 保険法」が8月1日に施行されたため、今回は5年ぶりの引き上げとなりました。


主要な変更内容


① 賃金日額の下限額
  
                    改正前   改正後

     全年齢共通  2,000円   2,330円

② 賃金日額の上限額
                                改正前    改正後

    60歳以上65歳未満   14,540円  15,060円
    45歳以上60歳未満   15,010円  15,780円
    30歳以上45歳未満   13,650円  14,340円
                 30歳未満   12,290円  12,910円

 賃金日額とは離職した日の直前の6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を、
 180で割って算出した金額を言います。


③ 基本手当の日額の下限
  
                     改正前   改正後

   全年齢共通    1,600円 1,864円

④ 基本手当日額の上限
    
                            改正前  改正後

   60歳以上65歳未満   6,543円  6,777円
   45歳以上60歳未満   7,505円  7,890円
   30歳以上45歳未満   6,825円  7,170円
                30歳未満   6,145円  6,455円


 基本手当の日額は雇用保険で受給できる1日当たりの金額を言い、賃金日額
 のおよそ5割から8割(60歳〜64歳では4.5割から8割)となっていて、賃金の低い方
 ほど高い率となっています。


会社の事務担当者の方の対応


 改正に伴い雇用継続給付の支給限度額も上がりました。育児と介護休業給付額の
 改正の他、高年齢雇用継続給付金については、上限は月額16,723円引き上げられ、
 344,209円になりました。今までは支給限度額を超えて受給できなかった方でも受給
 できる場合があるかもしれません。そのような方は一度チェックしてみると良いでしょう。

 

渋谷区 税理士

 

平成22年度調査統計資料より


 国税庁公表の「地ビール等製造業の概況調査」によると、地ビール製造業者数は173者です。
うち、151者(96.2%)が中小企業者です。

 総売上高に占めるビールの売上高の比率が100%の完全専業社は9%で、専業割合
10%未満が40.8%で、30%未満が63.7%なので、専業とするにはリスクがあると判断され
ているようです。


地ビール業界の経営状況


ビール事業の売上高は、平均65.9百万円、営業利益の額は、3.2百万円であり、前年と
比較して、営業利益が、70万円(128.0%)増加しています。
ただし、営業赤字の企業及び営業利益額50万円未満の企業の割合が、前年に引き続き
企業全体の5割以上を占めています。
 とは言え、企業全体の税引き前利益(ビール事業以外を含む)をみると、前年と比較して、
企業全体に占める欠損企業及び低収益企業(税引前利益額50万円未満の企業)の合計
の割合が減少しているので、地ビールには相乗効果が期待されているようです。

相乗効果をもたらす販売形態


 販売形態としては、レストラン併設形態、物産店への供給、料飲店チェーン店への供給、
酒類販売業者への卸売その他、がありますが、レストラン併設形態が最も多く、40.1%を
占めています。そのため、ビンや缶よりも樽売りの割合が34.9%と最多となっています。

物産展向けが営業利益9%と最も採算が良く、レストラン併設形態は4.1%、
料飲店チェーン店向けは赤字で、その他はトントンなので、専業の製造卸には環境は
恵まれていないようです。


大手は外してある


地ビール業者としては、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー、オリオン、の大手5社は
統計から外されています。
なお、聞きなれない、オリオンビールというのは、大手5社中のシェア0.9%と、
1%に満たない、圧倒的な最下位業者ですが、沖縄県では過半のシェアを占める、
沖縄県内大手企業です。
米国統治下の 1957年に沖縄ビール株式会社として設立され、沖縄本島北部の
名護市に生産工場を持っています。


渋谷区 税理士

“パワーハラスメント”とは職場において上司が業務命令権限を背景に労働者の人格権を
侵害し、不合理な肉体的・精神的苦痛を与えることを言い、その結果円満な職場環境が
阻害されるため、近年労働問題のひとつとなっています。

 しかし、この問題は“職場の安全配慮のための部下に対する注意”・“顧客ご満足のための
服装・態度などの注意”・“報告・連絡・相談など仕事の基本を守らないことへの注意”など
職場秩序を維持するために求められる管理監督者の行為と紙一重の関係を持っている点に留意して対処することが必要になります。


“パワーハラスメント”の原因


 “パワーハラスメント”は、就業規則や服務規律を守らず、不安全行為・反顧客ご満足行為
などを繰り返し、職場秩序を乱す部下に対して上司などが過剰反応し、社会通念を超える
肉体的・精神的苦痛・懲罰・報復・村八分・退職強要などに発展する場合に、それを受けた
労働者側の反発等によって起きます。

 判例上も「使用者においても是正のための改善努力をし、それにもかかわらず是正されず、
職場から排除しなければ適正な経営秩序が保たれない場合に初めて解雇が許されている」
(昭和58年・東京地裁判決)とされおり、使用者がその努力を怠ると“解雇権濫用”となり、
その解雇は無効となる恐れがあります。


経営者・管理監督者の留意点


 “パワーハラスメント”を防止し、職場秩序を守るために次の点に留意して対策を取るべき
であると言えます。

1.自社の事業を円滑に進め、職場秩序を維持するために、安全で能率的な仕事がしやすい
  物理的職場環境を構築するとともに就業規則・服務規律を整備する。

2.人事考課制度の評価項目に「執務態度・規律性など職場規律の維持に関する項目」を
  設け、管理者を通じて社員に公表・説明するとともに、個人別の評価結果を少なくとも
  年1回フィードバックする。

3.職場別に管理者が日常業務を通じて見過ごせないケースは個人別に注意を促すとともに、
  全員に「顧客ご満足・安全管理・報告・連絡・相談など円滑な業務遂行にあたって
  努力・協力すべきこと」を徹底する。 


渋谷区 税理士 

1.税務上の取扱は?


ロータリークラブの入会金や会費は、個人事業者と法人とでは、税務上どのように扱われる
のでしょうか。


2.個人事業者の場合


 ロータリークラブの会費等は、必要経費と認めることはできない、とした裁決事例が
あります(平成17年4月26日)。審判所は「必要経費に算入されるのは、それが事業活動と
直接の関連を有し、当該業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり」、
「家事費との識別が必要であり」、「私的な活動に過ぎない」から「直接費用であると解すること
はできない」と判断しています。


3.法人の場合


 法人の場合には、ロータリークラブの会費等について、原則として「損金」処理されます。
法人における損金は、事業活動における原価・費用・損失を含む広い概念として捉えられ、
所得税法とはその損金性の判断基準が異なっているといえます。

(法人税法基本通達ではロータリークラブに対する入会金又は会費を負担した場合には
交際費とする、としています。)


4.家事関連費との関係


 個人事業者の業務において、交際費や水道光熱費など「家事上」と「業務上」の両方に
関わりがある費用(家事関連費)があり、所得税法では以下の場合に家事関連費から除く、
としています。それは、個人事業者の必要経費に算入される場合とは、業務の遂行上必要で
その部分を明らかに区分できる場合、又は直接必要であったことが明らかにされる場合です。

 この平成17年の裁決事例において、家事関連費としたロータリークラブの会費等について
「事業の遂行上直接必要な程度を具体的に明らかにする」ことができないことを理由に
必要経費と認めることはできない、としています。

                                              渋谷区 税理士

 

不動産売買時の固定資産税の精算


 不動産の売買において、その売却日をもって売主と買主でその年の固定資産税を精算
することが一般的になっています。通常の不動産の売買契約書の雛形においても、
「1月1日から売却日までを売主、以後の分を買主の負担として精算する」との文言が入って
いるものがほとんどです。

取引の当事者にしてみれば、固定資産税の精算のつもりですが、税務は固定資産税の
支払いとは考えません。固定資産税の納税義務者(納めなければならない人)は
その年の1月1日の所有者と定められています。年の途中で不動産の売買等で所有者が
移動したとしても、その年の固定資産税の納税義務者は1月1日の所有者であって、
納税義務も移動するものではありません。つまり買主には固定資産税を納めなければ
ならない義務はない、ということになります。


固定資産税の精算は売買代金の一部


よって当事者間で所有期間に対応する分の固定資産税をお互いに精算したとしても、
買主に固定資産税の納税義務があるわけではないので、それは固定資産税の精算では
なく(つまり租税公課としての取り扱いではなく)、不動産の売買に伴う代金の一部という
扱いになり、税務上の取り扱いは面倒です。


土地付店舗を売却した場合


7月1日に、土地7,000万店舗3,000万円合計1億円で土地付店舗を売却した場合、
店舗には消費税がかかっていますから、消費税を除くと店舗の売却価格は、2,857万円
となります。そして土地60万円建物30万円の固定資産税を期間按分で1/2ずつ負担した
場合、買主の負担した固定資産税は、売却価格に加算されますから、土地の売却価格は、
7,030万円となりますが、建物の売却価格は消費税を除くと2,871万円となります。

計算は以下となります。
建物価格2,857万円+買主固定資産税負担分15万円÷1.05(消費税を除く)≒2,871万円

 

渋谷区 税理士

 

不可能を前提とする制度


 今年の3月決算法人からはじまった、グループ法人の個人親族オーナー株主グループに
係る完全な出資関係図となると、その作製は絶対に不可能です。
 しかし、完全な系統的出資関係図の存在抜きにグループ法人税制は法律通りには機能
しません。
 不可能なことを前提にして、可能にすることを追求するとしたら、国内の完全支配関係
にある法人と個人親族の一大相関関係図を作成する巨大なプロジェクトを立ち上げなけ
ればなりません。


完全なものを作ることが可能だとしたら


 巨大プロジェクトが国税庁の大型コンピューターを駆使して、まず、提出された「出資関係図」
を接合し、税務署に集積されるその他の情報もそれに付加し、漏れや穴を塞ぎ、
細密化・総合化を繰り返して、完成度を高めていくことになります。
そういうことがすでに始まっているとして、その情報は、法人情報を媒介として、結局は
個人情報の集積をすることにもなります。
そうすると、日本国民及び日本国内にいる各国の「在日」の方々の全体を包含するような、
6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族、及びそれと接触する事実婚者、お妾さん、
使用人とそれらの親族を含む、相関関係図が出来上がることになります。


そういうことが何を意味するか?


不気味な印象が生まれてきます。
第一に、デジタルデータで作られたものは、ウィキリークス事件から想定して、
“情報は必ず漏洩する”と考えるべきです。
第二に、例え守秘義務があるとしても、悪意をもって、あるいは確信犯的に、漏洩する内部
の関係者の出現も、過去の事例からして、皆無とは言えません。
第三に、憲法の保障する「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別されない
ために「秘匿」していることが公開の憂き目にあいかねないことになります。


国税庁は問題意識をもつべき


巨大プロジェクトには憲法の最も根本的な原理に関わる重大な問題が孕んでいます。
原則として、「出資関係図」の間の情報接合作業は禁じないと、由々しき事態が起き
かねません。そして、不可能を前提とする法制度も見直すべきです。


渋谷区 税理士

本年3月決算から始まった


 グループ法人に該当していたら、グループ内の各法人間の完全支配関係を系統的に
示した「出資関係図」、すなわち法人家系図のようなものを確定申告書に添付しなければ
なりません。今年の3月決算法人からこの提出義務があることになりました。


完全なものを作ることは可能か


 国税庁の公表する質疑応答事例でも、出資関係図には、期末における完全支配関係が
あるすべての法人を記載するべきところ、把握できなくて漏れがあっても構わないこととして
います。
 法人株主に限っても、大規模法人になると把握できないかも、と言っていますし、
個人株主となると、完全な出資関係図の作製は絶対に不可能です。


個人株主の場合の作成範囲


個人株主の場合は、個人株主の親族関係者全体を一株主のように見るので、一の個人株主
の範囲に含まれるのは、
① 株主等の親族
② 株主等と事実婚の者
③ 株主等の使用人
④ 株主等が生活の面倒をみている上以外の者
⑤ 上記②③④の者の親族
と、いうことになっています。


個人の親族というだけでも、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族で、この範囲ですら
親族付き合いをはるかに超えています。まして、親族の誰かのお妾さんの親族、などという
範囲など補足しようがありません。


不完全な系統図は税務署が完全にする?


 グループ法人税制は、完全支配関係があるグループであることを把握していたかどうか、
知っていたかどうか、 にかかわらず、適用があります。
 そうすると、完全な「出資関係図」の作成が絶対的必要事項になります。さもないと、
わかる範囲でのグループ法人税制ということになり、あるべきグループ法人税制として
法の予定する執行が不可能になります。
完全なものの提出が困難ということを前提にして、不完全な「出資関係図」を完全なものに
する税務署の仕事が新たに生まれたようです。

                                             

渋谷区 税理士

完全支配関係の判定


 グループ法人税制における完全支配関係があるか否かを判定する時期が、各制度によって
異なっています。
その主な制度の適用時期と完全支配関係の判定時期は、次の通りです。


①譲渡損益調整資産に係る譲渡損益の課税繰り延べについては、譲渡時点で完全支配関係
  がある場合に適用
②寄附金の損金不算入及び受贈益の益金不算入については、支出・受領の時点で
  完全支配関係がある場合に適用
③受取配当等の益金不算入(負債利子控除なし)については、その配当等の額の計算期間を
  通じて完全支配関係を有している場合に適用


完全支配関係の判定上の留意点


 これら①②③で特に③が留意すべき事項で、制度の恩恵を受けようとしても、適用要件が
過去の期間に遡及しています。


完全支配株式と言えるためには、配当の受取法人が、配当の計算期間の最初から最後まで
継続してグループ内法人である場合に限られています。半年以上1年未満の場合は100%
子法人ではあっても、25%以上支配の関係法人株式になってしまいます。半年未満だと、
一般の株式と同じ扱いです。
従って、組織再編を適格にて行って完全親子関係にしたとしても、その後の法人間の行為
では必ずしも完全支配株式や関係法人株式に該当しないことになることがあります。


配当の源泉所得税に落とし穴


 先の①②③のほかに、配当に係る源泉所得税を法人税額から控除する場合においても、
配当計算期間内の元本所有期間での月数按分の規定がありますので、同じく組織再編を
適格にて行った場合でも、予想外の落とし穴に陥込むことになりかねません。
 ただし、株式移転による組織再編だけは、受取配当金の益金不算入や配当源泉所得税
の法人税額控除の場合においても、期間の遡及規定に耐えて、規定されている制限の対象
からはずれていますので、組織再編手法の選択に制約がないとしたら、会社分割、株式交換
よりも、まずは株式移転を手法に選択できるかどうか考慮すべきです。

                                             

渋谷区 税理士

問題解決の代表的技法にはQC(クォリティー・コントロール・品質管理)が物やサービス
の品質のバラツキを小さくして均一な製品を作ったり、品質改善を図るのに用いられ、
IE(インダストリアル・エンジニアリング)が作業や動作のスピード改善に用いられる
分析的技法であるのに対してワークデザインと言う製品や仕事の機能・仕組みの改善を
対象とした演繹的技法があります。

 ここではワークデザインの特徴・活用法について概要を説明しましょう。


ワークデザインの特徴


ワークデザインは仕事の仕組みなどが本来果たしたかった目的を再定義し、新しい仕組み
(システム)を構築する演繹的アプローチ(このようにありたい、と言う理想システムを描き、
そこに接近しようとするアプローチ)で、現状の枠組み、制約を外したところからスタートして
現実的システムへと集約する方法です。


 例えば、ある商品の機能向上によって競合他社に差をつけたい場合、その商品に対する
クレームなどから、機能上の問題点を見出して改善しようとするのが、分析的方法であるの
に対して、その商品が本来持つべき理想的機能をあらゆる制約を外して描いた上で、そこに
到達するための障害を調べて除去することによって理想システムへ接近しようとする方法が
ワークデザインです。


分析的改善技法では小さな部分改善の積み重ねになり、大きな改善に結びつきにくいのに
対して、ワークデザインの演繹的発想は、現状に捉われにくく、画期的な改革に向いており、
企業のあらゆる仕組み(システム)の抜本的変革(リエンジニアリング)に役立ちます。


経営者のワークデザイン活用法


① 現状の経営において、何を改革したいか、まずテーマの設定を行いましょう。
② そのテーマに関係する知識・経験を持つ有能な社員を集めてプロジェクトチームを編成
   しましょう。


目的が明確で、有能な社員が集まれば、“ファシリテーション”によって衆知を集め、
“ワークデザイン発想による改革”が可能になります。

                                              渋谷区 税理士

親子関係化の手法


グループ法人税制の下では、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、
親子関係に組み直しておくのがベターです。その場合の持株会社設立や兄弟会社の
親会社化手法としては、


① 新設分割をして事業を分社化する
② 株式交換をして完全親会社になる
③ 株式移転により完全親会社を新設する
などが挙げられます。


分社型新設分割による事業移転


 ①の場合、会社分割でできるのは、子会社か兄弟会社に限られるので、親会社をつくる
ことはできません。
 したがって、この手法は、現在一社しか存在しない状態をグループ法人化する場合の
選択と言えます。なお、分割型分割は兄弟会社を設立するときの手法なので、ここでの
選択からは外れます。


 分社型分割の手続きとしては、設立される分割子会社に資産と事業の全部または
一部を移転し、その対価として分割子会社が発行する株式の全部を分割元となる会社が
受け取ります。


株式交換による完全親子関係化


 ②の場合、株式交換は既存の会社同士の組織再編行為なので、現在一社しか存在しない
としたら、新規に会社を設立しその会社との株式交換をすることになるし、すでに兄弟会社が
あるとすれば、その中の親会社にふさわしい会社を相手に株式交換することになります。
 手続きとしては、子会社となる会社の旧来の全株主の全株式を親会社となる会社に
引き渡し、代わりに親会社となる会社の株式の交付を受けます。


株式移転による完全親会社の新設


 ③の場合、株式移転は新会社である親会社を設立する組織再編行為です。
 手続きとしては、子会社となる会社の旧来の全株主の全株式は新設で親会社となる会社
に引き渡され、代わりにその親会社の設立に伴う株式の交付を受けます。


これら①②③の結果


これらの結果、一つの会社が他の会社の100%株主である完全親会社となり、他の会社は
完全子会社となり、法人を100%親会社とするグループ法人が成立します。

                                              渋谷区 税理士

「年俸制」とは「働いた時間の長さでなく、労働者の能力や業績に応じて賃金を決定する制度」
で、例えば年俸額を17等分し、12を各月払い、5を年2回の賞与として支払う支給方法が多い
と言えます。


「年俸制」の活用方法と効果


 「年俸制」を適用するのが適した労働者は主に次の通りです。


① 労働基準法第41条第2号で労働時間の規制が除外されている
   管理監督者・機密事務取扱者
② 労働基準法第38条の2で、労使協定により、みなし労働時間制を合意し、
   それに応じた年俸が設定されている企画型裁量労働制・専門業務型裁量
   労働制適用対象者


「年俸制」を採用した場合は「目標管理制度」等による成果目標達成度・能力発揮度の
評価結果に応じて年俸額を改訂することにより、労働者の自発的努力を引き出すこと
ができます。


 しかし、経営者がこのような効果を期待しても、特に②のケースで、実際には
「時間外割増賃金」を支払わなければならないリスクが生じますから、制度設計・運用上
注意が必要です。


経営者・人事部門の留意点


「年俸制」を採用する場合、経営者・人事部門は次のリスクに留意して制度設計・運用管理
を行い、制度活用に期待する効果をあげて頂きたいと思います。


【リスク1】


1週又は1日の実際の労働時間が労使で協定した労働時間を超えた場合は、
「時間外割増賃金」を支払わなければならない。


【リスク2】

 年俸をあらかじめ月払いの部分と賞与部分とに分けて設定してある場合の賞与は、
法令上の賞与の定義(「賞与は支給額を予め設定していないもの・昭和22年・通達第17号」)
に該当せず、「平均賃金」や「時間外割増賃金」の算定基礎に算入しなければならない。
このリスクが【リスク1】のケースに適用されると高額な「時間外割増賃金」を支払わなければ
ならない。


リスクを回避する方策としては、労使協定の前提として、対象労働者自らが労働時間を
短縮しつつ成果をあげる生産性の高い仕事の進め方を意識する評価制度を設け、
年俸中の賞与は会社業績や個人の成果・能力に応じて変動させることが必要です。

                                              渋谷区 税理士

振替休日と代休の考え方の違い


 振替休日と代休は似てはいますが割増賃金の扱い方は違っています。休日に仕事が生じた
場合、出勤予定の休日を通常の労働日と振り替える日を事前に決めておく事を振替休日と
言い、これは休日と通常の労働日を交換するだけなので休日出勤という事ではありません。
一方で休日労働させた後に他の労働日に代休を与えるのは、後から休みを取ってもすでに
休日出勤した事実が残るので、休日労働の割増賃金が必要になります。


割増賃金の要・不要


 振替休日は休日の入れ替えをするだけなので、休日労働に対する割増賃金は発生しません。
しかし休日を振り替えたことで一週の実労働時間が一週の法定労働時間の40時間を超えた
場合は超過分が割増賃金の対象となってしまいます。割増賃金が発生しないよう振替休日を
とらせても、結果として超過した時間が割増となってしまわないようにするには、同じ週の中で
振り替えをすることが良いでしょう。


振替休日の日に休めなかったら


 せっかく振替休日を決めていても、業務の都合で休めないことがあります。その場合、
再振替はできるのでしょうか。法律上では再振替は禁じられていませんが労基法では4週4日
の休日が確保される必要があります。しかし再振替により賃金支払い期を越えてしまうことが
あります。賃金支払い期の範囲内で振替休日が取れないときは休日の割増賃金として精算
するのが適当でしょう。ただし4週4日の法定休日でない場合の他の休日出勤については、
必ずしも4週間以内に振り替えをしなくとも社内規定等で決めておけばさらに先の日に振り替え
も可能でしょう。


振替休日制度を導入するには


 振替休日制度を会社に導入するときは、就業規則等にその方法を定めておくことが
必要です。


注意点は
① 遅くとも振り替えられる日の前日までに通知する。
② 1週1回か4週に4日の休日が与えられていること。
③ 労働者の同意がある等でしょう。


 就業規則のない会社でも書面でこの制度について定めておき、労働者の方たちに周知する
ことで制度を利用することができるでしょう。

                                              渋谷区 税理士

受取配当等の益金不算入の制度の趣旨


配当支払法人における配当の支払原資に対して法人税課税がされていて、配当受取法人
において更にその受取配当等に法人税課税されると、これは二重課税であると解されて、
その排除を目的として益金不算入の規定が設けられています。


ただし、配当収益の元本である株式の取得に際して投資した額を確保するために要した
負債の利子は益金不算入額の計算上減算控除されます。利息が費用として損金算入
され、収益が益金不算入では、逆の二重控除となるからです。


100%グループ内の場合の特例


完全支配関係にある親法人が受ける子法人からの配当等の額については、益金不算入
とするだけでなく、負債の利子の額の控除もしないことになっています。


 この規定は、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性を確保する観点や、
完全支配関係にある法人からの配当は、グループを総合的にみて、別な事業部門から
間接的に行われる資金移転と考えられる、ということから趣旨説明されています。


制度適用の要件と制限


 ただし、作為的に完全支配関係を構築しても直ちにこの適用が受けられるようになるわけ
ではありません。
ここにおける完全子法人株式とは、期末時点で完全支配関係があるというだけでなく、
配当等の額の計算期間の開始の日から計算期間の末日まで、配当受取法人と
配当支払法人との間に、完全支配関係があった場合の株式をいう、と極めて制限的に
規定されているからです。


制限が緩和されている場合もある


 なお、適格合併等があったことにより新たに完全支配関係を有することとなった場合でも、
その適格合併等で引き継ぐこととなったその完全子法人株式についての保有期間は
引き継ぐことになっていますので、適格優遇の配慮はあります。


 また、その支払を受ける配当等の額がみなし配当等の額である場合に、その金額の支払
に係る効力が生ずる日の前日において法人と他の内国法人との間に完全支配関係が
あれば、それだけで要件を充足しますので、配当計算期間における保有期間制限には
拘わりません。
 株式移転による完全親会社もこれらの制限から解放されています。

                                             

渋谷区 税理士

資金調達の中立性


 100%支配グループ内の法人による完全支配関係にある内国法人間の寄附金については、
支出法人においては全額損金不算入、受領法人においては全額益金不算入となります。
 この規定にも、100%支配グループ内の資金調達に対する中立性の確保と言った制度創設
の趣旨が伺えます。


制度対象の限界


 ただし、この寄附金の取扱いは、100%支配グループの中の、法人によって支配されている
内国法人にのみ適用されます。直接の株主として個人株主が一部にでもいる法人が寄附の
当事者になっている場合には、適用されません。株主個人間の財産の異動にこの制度が
節税策として利用されるのは困るとの理由で法人支配に限っているからです。


制度誘導している組織関係


 そうすると、これからは、個人株主の下に複数の兄弟会社があるという形は避けて、
兄弟会社の上に全会社を統括する持株会社を設けて親子関係にするとか、兄弟関係を
親子関係に組み替えるとか、ということが複数法人間の関係のあるべき姿として制度誘導
されていくことになるのではないでしょうか。


子会社株式簿価修正という課題


 また、100%支配グループ内の寄附金の制度は、親会社に新たな事務を課しています。
子会社に寄附の授受の事由が生じたら、その子会社株式簿価に、益金不算入・損金不算入
となった寄附金の額相当額を加算・減算する簿価修正作業をします。
 目的は、グループ法人間の寄附についての制度を利用して、グループ法人間で株式価値
の移転を企図し、株式価値の小さくなった子会社株式の譲渡により作為的に損出しすることを
防止することにあります。


簿価修正強制の及ぶ範囲


 この帳簿価額の修正は、グループの頂点の法人株主まで連鎖的に行うことが制度の整合性
の観点から望ましいものの、制度の実行可能性から、直接の株主段階のみ行うこととされて
います。直接の株主が個人株主の場合には、個人株主に法人税のこの規定を及ぼすことは
できませんので、寄附修正の効力はここで行き止まりです。

                                              渋谷区 税理士

現物配当と現物分配


現物分配とは、剰余金の配当等またはみなし配当により株主等に金銭以外の資産が
交付されることをいいます。


会社法で定める現物配当とはこの規定の上では同じですが、税法上では組織再編の
実行行為と位置づけされ、配当行為としても排除したので、会社法とは異なる命名と
されました。


現物分配の組織再編機能


現物分配が組織再編行為と言える典型例は、子会社株式を親会社に現物配当すること
などに見られます。それにより、子会社が兄弟会社になってしまいます。会社分割により、
グループ内の他の会社に財産を異動させる行為も、現物分配により同じ目的を達すること
が可能です。


完全支配関係下の現物分配


100%支配グループ内の現物分配は自動的に適格現物分配とされ、他の組織再編制度
と同じく、簿価による資産移転なので譲渡損益課税から解放されています。
資産の移転を受けた法人においても、移転直前の帳簿価額により取得したものとされ、
その受けたことにより生ずる収益は益金不算入です。


配当の仲間から除外


適格現物分配は、配当ではないとの扱いなので、収益の益金不算入の意味は、「受取配当金
の益金不算入」の規定の適用ではなく、最初から、組織再編的に利益積立金への直接異動と
して処理します。
それゆえ、現物配当は源泉徴収の対象にもなっていません。
とは言え、これは株主への配当に係る制度を利用しての行為なので、子会社や兄弟会社への
財産の移転には使えません。


現物分配行為の留意点


完全支配関係については、現物分配の直前に完全支配関係があることのみが要件で、
その後のその関係の継続は要求されていないので、組織再編機能としても、まことに使い
勝手のよい制度です。
なお、現物分配は一つの行為で複数の者を被現物分配法人とすることがありますが、
その場合、その中に個人、外国法人、公共法人、公益法人等又は人格のない社団等が
一者でもあれば全体が非適格となる、という制約もあります。

                                            

渋谷区 税理士

禁止の特約がなければ自由


 本来、借地権者がその所有する建物を増改築することは自由です。しかしながら、
増改築を禁ずる特約を設けることは有効であり、その特約がある場合には、地主の
承諾を得るか、裁判所より承諾に代わる許可を受ける必要があります。


 因みに、増改築禁止特約がない場合でも地主が承諾料をとったり、承諾増改築を
理由に契約解除を主張する例もありますが、これは法律に対する誤解です。


「増改築」と「修繕」


 ここで、増改築と異なる概念として「修繕」が問題となります。借地権者としては、
建物にガタがきたときに修繕したくとも、地主に「それは増改築だ、まかりならん」と
言われては困るわけです。この点、修繕とは、目的物の完全な使用収益を妨げる
障碍を除去し、完全な使用収益ができるように従前の状態とほぼ同じ状態にする
ことといえます。

例えば、屋根瓦が破損して雨漏りがする場合に、その破損した瓦を破損していない
瓦と取り替える行為がこれにあたります。そのような借地上の建物の維持、保存を
図る通常の修繕を禁ずることは特約をもってしてもできないと解されています。


これに対し、通常の修繕を超えた大修繕、つまり、壁、柱、床、梁、屋根又は階段の

過半にわたる修繕、建物の耐用年数に大きな影響を及ぼす程の規模の修繕は、
これはもはや増改築の域に達しており、これを無断で行うことを禁ずることは許されます。


増改築の許可申立の裁判


借地権者が増改築の許可を裁判所に求めるためには、図面又は仕様書等によって
求める工事を特定して申立て、増改築をすることが通常の利用上相当であることを
具体的に主張、立証することが必要です。それで裁判所が申立を相当と認めたとき
には、一定の金額の支払を条件に増改築の許可を出します。東京地裁における相場
としては全面改築で更地価格の3%程度と言われています。


承諾がなくても、解除されるとは限らない


 地主の承諾も裁判所の許可なくなされた増改築は契約違反で契約解除事由となります。
もっとも、裁判所は、通常の土地の利用上相当で、地主に特段影響を及ぼさず、信頼関係
を破壊するようなものでない場合は、解除を認めていません。

                                              渋谷区 税理士

決算書を拝見していると、最終利益がしっかり出ているにもかかわらず、あまり内
容のよくない決算書に出会います。それは、次の勘定科目の残高が多すぎることが原因
の場合がありますのでご注意ください。


短期貸付金


小さな会社の場合、社長の生活費と会社のお金が区別されず、ごっちゃになってい
るということが往々にしてあります。役員報酬で相殺できればいいのですが、生活費
として引き出した金額の方が多いという場合、差額が短期貸付金として積み上がって
しまいます。役員報酬を引き上げることで徐々に返済できればいいのですが、源泉所
得税や社会保険料もそれに応じて増加するため、業績によっては難しい場合がありま
す。融資を受けている銀行からは一番嫌がられる科目でもあります。


仮払金


本来は、既に現金が支払われているが、使途が確定しない場合に使います。
実際には使ってしまった経費である場合が多いので、すぐに精算すべきですが、決
算までに領収書が出てこなかったり、個人的に使ってしまい精算できないといったケ
ースもあります。また、利益を確保するため、今期は経費処理せず仮払金に計上して
繰り延べる、といったことをすることもありますが、もちろん、その期の費用はその
期に計上すべきです。決算書に仮払金が載っていると、杜撰な会社だという印象をも
たれることがあります。


売掛金


実際に業績が上がって売掛金が増加するのはいいのですが、そうではない場合、例
えば、不良債権の増加や入金遅延が増えたり、また、度が過ぎると粉飾ですが、黒字
を確保するため前倒しで売上を計上した、という場合に増加します。総資本回転率が
小さくなるので、要注意です。


棚卸資産


売上高が前年に比べて同程度か減少しているのに、棚卸資産が急激に増加している
場合、不良在庫が増加したか、利益確保のため棚卸資産を水増し計上した、というこ
とが考えられます。棚卸資産回転率が悪化しますので、注意しましょう。


開発費


新技術の採用のほか営業ルートの開拓などを市場の開拓として、関連諸経費をすべ
て開発費(繰延資産)に資産計上して利益を捻出している企業もあります。単に経費
を繰延べたにすぎず、勘定あって銭足らずの原因のひとつです。

                                          

渋谷区 税理士

適正借入残高の分析指標


「当社の適正借入残高は幾らですか」と聞かれることがあります。しかし適正借入
残高を示す決定的な分析指標は結論から言えばありません。


方法としては、経常運転資金と有利子負債の関係を見るとか、総資産に占める借入
金の割合を見るとか、有利子負債月商倍率等がありますが、どれも業種業態・企業規
模等によって異なります。


また政策的な先行投資の場合の借入と明日の資金繰りのための借入では、借入残高
指標の分析結果が同じでもその見方は180度違います。


返済可能かどうか?


要は返済可能な借入残高であれば、適正借入残高と言えます。
返済可能かどうかの資金繰りを、正確に見ることは、かなりの経理知識と力作業が
必要です。そう言ったことは会計事務所や経理にまかせたとしても、経営者としては
大枠で返済可能かどうかを捉えておく必要があります。


簡易判断方法


返済原資は、基本的に儲け=利益からしか生まれません。次の手順で貴社の借入を
判断してみてください。


① まず貴社の利益(又は損失)から税金や配当等の支出を引いてください。(返済
は将来にわたりますから、現在繰越欠損金があって納税を免れていても、利益の
場合は、安全性を考慮して概ね40%の税金は控除して下さい)


② 次に経費のなかで、資金の出て行かない経費(減価償却費や引当金等)を足して
ください。


③ 最後に経費にはならないが資金の出てゆく支出(借入の返済・保険の積立金等)
を引いてください。


答えがプラスであれば、貴社の借入残高は適正であると言えます。答えがマイナス
であれば、返済が多いと言うことになりますので、返済期間を延ばして借り換えをす
るとか手を打つ必要があります。


赤字でも試してみてください、減価償却や引当が大きい会社はプラスの可能性もあ
ります。

                                         

渋谷区 税理士

変更される子育て関連助成金


 子育て関連の助成金として厚生労働省が管轄している主なものとしては、
「中小企業子育て支援助成金」と「両立支援レベルアップ助成金」がありますが、
平成23年9月から変更点がありますので紹介します。


「中小企業子育て支援助成金」


 この助成金は育児休業の取得促進のため中小企業事業主(従業員100人以下)に
対して初めて育児休業者が出た場合に助成金が支給されます。助成金額も大きかった
のですが申請が増えたためか23年4月から助成額が1人目70万円、2人目以降5人目
まで50万円に減額されています。さらに23年9月末までに育児休業を終了し、復帰後
1年を継続勤務した人までを支給対象として終了することとなりました。


「両立支援レベルアップ助成金」


 仕事と家庭の両立を図る労働者を支援する事業主に助成金が支給されます。
「子育て期の短時間勤務コース」は従業員100人以下の事業主に対し23年4月から
1人目70万円に、2人目から5人目までは50万円に減額されています。


23年9月からの改正案


① 組織変更による変更点
(ア) 助成金の申請の受付・支給を21世紀職業財団から労働局均等室に変更
(イ) 名称を「中小企業両立支援助成金」に変更
(ウ) 育児介護費用等補助コース、24年1月申請分で終了
② コース内容の変更
(ア) 代替要員確保コース・休業中レベルアップコースは支給対象事業主が従業員300人
以下事業主に限定
(イ) 一般事業主行動計画は事業主規模にかかわらず提出を要件とする
(ウ) 事業所ごとの申請から事業主(企業)ごとの申請とする
(エ) 代替要員コース支給金額一律15万円
(オ) 休業中能力アップコースの支給限定額は1人当たり21万円
③ 新たに「継続就業支援コース」を創設予定。23年10月1日以降に育児休業者が
初めて出た等の要件を満たした従業員数100人以下の中小企業事業主に1人目40万円
2人目から5人目に15万円を支給します。

                                            

渋谷区 税理士

国税庁が5 月に公表した平成21 年度分会社標本調査によると、欠損法人の割合は
72.8%に及んでいます。

このような状況では、節税策よりも、むしろ、いかに利益を確保するかの方が、
金融機関対策を考慮しても大切かと思います。決算直前でもできる、ちょっとでも利益
を出す方法をいくつか見てみましょう。

売上計上基準の変更

検収基準から出荷基準に変更するなど、売上を少しでも早く計上できる基準に変更
します。ただし、業種・業態に応じて合理的な基準を採用すべきで、変更には合理的
な理由が必要です。また、変更後は継続適用しなければなりませんので、あまりおす
すめできません。

いつでもいい経費は翌期へ

備品、消耗品の購入、広告宣伝費など緊急性の低い支出は翌期になってから行い、
当期の費用にならないように調整します。

前払費用に計上

家賃及び生命保険料など翌月分を先払いしているような費用は、前払費用に計上し
ます。ただし、短期前払費用の特例を適用して、年払いしたものを支払った期の費用
に計上している場合は、この方法を適用できない場合があります。

貯蔵品に計上

事務用品、切手、印紙、パンフレット類など、毎期一定量を購入し継続的に消費す
るものはその期の経費にできますが、消費時に費用計上するのが原則ですので、これ
ら未使用のものを洗い出し、貯蔵品として資産計上します。ただし、処理変更後は継
続適用する必要がありますのでご注意を。

固定資産に計上

使用可能期間が1 年未満のもの、取得価額が10 万円未満のもの、同じく20 万円未
満の一括償却資産、同じく30 万円未満の少額減価償却資産を、原則通り固定資産に計
上して、通常の減価償却を行います。

付随費用は取得価額に含める

自動車などの固定資産購入時に発生する、自動車取得税などの租税公課などを費用計
上せず、取得価額に含めます。

グループ会社をうまく活用する

100%グループ会社に対し、譲渡直前の簿価が1,000 万円以上で含み益がある資産を
売却し、譲渡益を計上します。あるいは、寄附金を受け、受贈益を計上します。これ
らはグループ法人税制により課税が繰り延べられますので、会計上は利益が出ますが、
法人税は課税されません。

                                             

渋谷区 税理士

減価償却資産を期中に売却や除却をした場合に、期首から売却等直前までの期間の
償却費を計上すべきかどうか、気になるところですが、実務上の取扱いとしては任意
のようです。


税法の規定


減価償却費の計上について、法人税では「各事業年度終了の時において有する減価
償却資産」について損金経理の上、計上できる旨の規定になっています。


一方、所得税においても、「その年の12月31 日において有する減価償却資産」につ
いて計上できる旨の規定になっています。税法規定からいえば、別段の定めがない
限り、原則、期中売却等をした償却資産については減価償却費の計上は許されず、期
首帳簿価額が売却(譲渡)原価となり売却価額との差が売却損益として計上され、ま
た、除却の場合は期首帳簿価額が除却損として計上されることになります。

所得税には通達


しかし、所得税においては、通達により、便宜的に、年初から売却直前までの減価償
却費の計上を認めています。具体的には、年償却費の月数案分です。一方、法人税に
はそのような通達はありません。


所得税においては、期中償却の有無によって、譲渡所得の金額、不動産所得、事業
所得の金額が違ってきますが、法人税の場合は、所得区分による課税方式ではなくグ
ロス課税ですので、期中償却費を計上しようがしまいが課税所得には影響がないこと
から、敢えて通達にも規定しなかったのではないのでしようか。

法人税申告書別表16 の記載

法令上はともかく、実務上は任意ということですが、法人税の申告書別表16(減価
償却資産の償却額の計算に関する明細書)では、事業年度末に存在しない資産の償却
費は反映されない仕組みになっています。やはり、事業年度末に存する資産について
のみ償却費を計上する、という法の趣旨がこの別表16 に表れているように思います。

適格分割等の組織再編

適格分割等(適格現物出資、残余財産の全部の分配を除く適格現物分配)の場合に
は、「期中損金経理」という規定の仕方で期中償却費の計上を認めています。
しかし、その償却限度額は、年償却費の月数案分ではなく、事業年度が1 年に満た
ない場合の償却率によることになっています。

                                            

渋谷区 税理士

大きな抜け穴だった自己株税制


 高い帳簿価額の子会社株式を自己株として引き取らせることにより、益金不算入の
みなし配当と株式譲渡損を発生させる節税手法がありました。


この手法を使い、連結納税の隙間を突いて4千億円もの節税をはかった日本IBMは
法令の乱用として国税当局により節税額を追徴され、現在係争中のようですが、昨年
の税制改正でこれらの手法はほぼ完璧に封じられることになりました。


しかしまだあるらしい


一般の「市場取引」での自己株取得では、買い手が誰か不明で自社株買いにあたるか
分からないため、譲渡側にみなし配当課税は適用されないことになっています。
7月25日の日経新聞の報道によると、東京証券取引所の自己株式立会外買い付け
取引「ToSTNeT−3」は買い方を発行会社に限定するものなので、みなし配当発生取引
に該当する可能性が高そうです。


公開買付による自己株取得は


 公開買付による自己株取得については、相手が誰か明確なので、譲渡法人については
一貫して、みなし配当発生取引としてきましたが、個人譲渡者については、昨年平成22年
までは、単なる市場売却とする扱にしていました。ただし、今年からは、これも法人と同じ、
みなし配当発生取引です。
 なお、平成22年税制改正では、
① 公開買付に応ずる目的での取得
② 100%支配関係にある会社間取引
この二つに該当する場合のみなし配当については、節税にならないように手当されました。


ゼンショーの場合は


 日経新聞の報じたところでは、ゼンショーはカッパ・クリエイトの実施した「ToSTNeT−3」
による自社株買い応じて多額の節税に成功しました。これに、国税局がみなし配当対象外
として20億円の追徴をした、ということです。


 ゼンショーは自社株買いに応ずる目的で株式を取得したわけではなく、また100%支配の
関係にある株式でもないので、一般の公開買付の場合の扱いと異なる課税関係にすること
は難しいのではないかと、思われます。

                                             

渋谷区 税理士

損益繰り延べの対象は


 100%支配グループ内の内国法人間での資産の移転は時価で行われますが、
譲渡損益は繰り延べとなります。


 対象資産は、固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産などで、譲渡損益
調整資産と名付けられています。商品等の棚卸資産や帳簿価格が1,000万円に
満たない資産は繰り延べの対象から除かれます。


繰り延べの当初処理と事後処理


 繰り延べは譲渡側だけの問題で、譲り受け側は普通に時価取得したということです。
繰り延べられた譲渡損益は、その資産が減価償却資産・繰延資産という償却対象資産
の場合は、譲渡先法人の償却費計上等に合わせて原則法や簡便法の計算に従って
算定される金額が戻し入れられます。


それ以外の資産の場合には、完全支配関係が消滅したり、その譲渡された資産が
再譲渡、除却、評価替え等された場合に、繰延譲渡損益の全額が戻し入れられます。


繰り延べ後の処理のための手続き


なお、完全支配関係があるとはいえ、譲渡法人と譲受法人は別法人ですから、
譲受法人において譲渡損益の戻し入れ事由が生じたことを、譲渡法人が知ることは
必ずしもできません。そのため、グループ法人税制の適用を受ける場合、譲渡法人
及び譲受法人は相手方に対して、譲渡損益の戻し入れを行うために必要な情報を
通知し合うこととされています。


具体的には以下の情報を通知し合います。
①譲渡法人から譲受法人に対して、譲渡損益調整資産に該当するか、償却資産に
係る譲渡損益の戻し入れが簡便法によるかを。
②通知を受けた譲受法人から譲渡法人に対して、譲受有価証券が売買目的有価証券
とされるか、損益戻し入れ簡便法資産に適用する耐用年数又は支出の効果が及ぶ期間を。
③譲渡損益の戻し入れ事由の発生の有無を。


適法な完全支配関係とその判定時期


この譲渡損益の繰り延べの制度の対象は、内国法人である普通法人と協同組合等に
限られますので、譲渡法人又は譲受法人が外国法人、公共法人、公益法人等、
人格のない社団等である場合には適用されません。


この制度の適用にあたり、譲渡法人と譲受法人が適法な完全支配関係にあるか否か
について判定するのは、資産を譲渡する時点です。

                                           

渋谷区 税理士

今後の法人税制の大枠 


 法人税制は、個々の法人に対する税制度であるとともに、連結グループ全体を一つ
の納税主体として選択した連結納税制度と、さらにその中間に位置する、100%支配
グループ法人間に強制適用されるグループ法人税制度とに体系的に整理されました。


グループ法人税制の対象 


 発行済株式等の100%を直接又は間接に保有する関係のある法人のことを完全支
配関係にある法人といい、完全支配関係にある法人グループ内の取引や行為につい
て規制するものです。


個人又はその個人の親族、すなわち、6親等内の血族、3親等内の姻族によって100%
支配されている会社同士はグループ法人とされます。


グループ間取引の円滑化 


 この制度の大きなメリットは、グループ内での資産や資金の移転を課税なしに行うこと
ができることです。グループ法人間で行った取引については、会計上での損益の認識に
かかわらず、法人税法上では原則として申告調整によりそれを留保し、一定の要件が
整うまで、損益を認識しません。


 そのため、課税関係の配慮に頓着せずに効率的に事業用資産の配置換えをしたり、
資金の移転をすることができます。


使いこなせればメリット


 なお多くは、グループ内の譲渡益の繰り延べのイメージで制度説明をしているものの、
実は譲渡損を出しにくくすることを狙っている制度と言えなくもありません。


しかし、譲渡損を絶対的に認めないという制度ではないので、複雑になりはしたものの制度
をうまく使いこなせば、逆に不都合をうまく回避しつつ、メリットを享受することができます。


創設された主項目


 次は、グループ法人税制における主な事項です。
100%グループ内の
1.法人間の資産の譲渡取引
2.法人間の非適格株式交換等
3.法人からの受取配当等
4.法人間の現物分配
5.法人間の寄附金と受贈益
6.法人間の自己株式の取得等
7.解散子会社の欠損金引継ぎ

                                          

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夕方からのアルバイト


就業規則等で正社員の兼業を禁止している企業もあると思いますが、アルバイトは
翌日の業務に差し支えなければしてもよいというところもあるでしょう。


 例えばこのような会社のサラリーマンやOLが夕方からパートタイマー等でアルバイトに
行った場合は、その通勤途上の事故や労働時間から見た割増賃金はどのような扱い
になるのでしょうか。


アルバイト先へ行く時の通勤災害


 一つの仕事を終え、次にアルバイトへ行く途中で事故にあった時は第二の事業所
の通勤災害となります。この場合の移動は第二の事業所で働くために行われた通勤
ということになるからです。もちろん通勤経路は「就業に関し、合理的な経路及び方法」
であり、経路の逸脱や中断は対象になりません。


 通勤災害で休業したときは、第二事業所で受けている賃金に対して休業補償給付がされることになります。


アルバイト先での割増賃金


 第一の職場でフルタイム勤務した後に第二の職場で働いた場合、割増賃金は
発生するのでしょうか。


 一日8時間労働の法定労働時間を超えた段階でその労働に対して、割増賃金の
対象になります。これは事業場が異なる場合でも1日の労働時間を通算することが
労働基準法第38条1項に記されています。


 労働者には第一の事業所の労働時間を報告させ、通算して8時間を超えた分は
割増賃金となりますが、第二の事業所では、同じ時間帯に同じ労働を行っている他の
アルバイトがいる場合、時給が違ってくるので雇う側からすると不合理に
感じるかもしれません。このような方を雇う場合にはあらかじめ割増賃金も想定した
時給を考えた方が良いのかもしれません。


労働者が昼間勤務を虚偽報告した時


 第二の事業所では本人から「昼間は働いていない」「短時間勤務している」と報告
されていたとして、それが虚偽であって、結果として時間外労働が生じたとしても、
民事上割増賃金の支払いは必要とはされます。しかし、この企業に責はないため
割増賃金を支払わなかった場合でも、労基法違反とはなりません。

                                           

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パートタイム労働者は1,500万人

 今や雇用されている人の4分の1がパートタイム労働者(以下パート)として働いています。
パートタイマーとは元々フルタイム労働者に対し、一部の時間を働く者を指しています。
パート労働者の事を短時間労働者とも言いますが、パートタイム労働法によると
1週間の所定労働時間が同一事業所で働く通常の労働者より短い者を言います。
実態はパートにも概念はいろいろあり、時給や日給の方で労働時間は通常の労働者と
同じであるような方はパートタイム労働法のパートではありません。正社員でない労働者の
呼称としてパートと呼んでいる場合もありますし、有期雇用契約者を指している場合
もあります。実際は期間の定めのない契約も有り、雇用形態は様々です。

パートタイマーの分類と雇用管理

 以上のように一口にパートと言っても色々な雇用形態がありますが、大きく分けると
次の二つで、この二つの各々の組み方で4通りの雇用パターンが考えられます。
①通常の労働時間か、短時間勤務か
②有期雇用か、無期雇用か
 短時間労働者はパートタイム労働法の対象者となります。その法の趣旨は均衡の
とれた待遇です。

労働条件は書面で明示する

 パートタイム労働法では、長期に渡り、通常の労働者と職務の内容や、
人材活用の仕組み、運用が同一であり、雇用期間の雇用期間の定めがない場合には、
賃金を通常の労働者と同一方法で決定する努力義務があります。又、労働条件を
通知書等書面で明示することが必要です。記載内容は契約期間があればその期間、
仕事の場所と内容、始業終業の時刻、休憩、休日、賃金、退職に関する事項等を
記載します。特に後からトラブルになりやすい昇給・賞与、退職金の支給の有無
については、必ず記載することとなっています。

有期雇用のパートの雇止め

 労働契約書に更新の有無が記載され、契約更新する場合は、更新の基準を示す
必要があります。雇止めをする時は、3回以上更新している場合や1年以下の契約を
繰り返し、結果として1年以上継続雇用している場合には期間満了日の30日前までに
その予告をしなくてはなりませんので注意が必要です。

                                            

渋谷区 税理士

1.均等割と所得割
個人住民税の税額は所得に関係なく定められている均等割額と、所得について
課税される所得割額とに区分・計算されます。
住民税には都道府県民税と市町村民税があり、均等割については現在それぞれ
1,000円、3,000円(合計4,000円)で、所得割の税率は、
それぞれ4%,6%(合計10%)となっています。

2.居住地と事業所が異なる場合の均等割
居住地(納税地)と異なった事業所で事業を行っている場合、居住地で住民税が
課税されるのは勿論ですが、事業所地においても均等割(4,000円)が課税されます。
そのため、都道府県民税の均等割(1,000円)については、居住地と事業所地
で重複課税がされていることになります。

3.均等割が非課税になる場合
 まず生活保護法の規定により生活扶助を受けている者、または
障害者・未成年者・寡婦(寡夫)で、前年の合計所得金額が125万円以下の者が
非課税となります(この場合は所得割も非課税)。
さらに、前年の合計所得金額が一定の基準以下の場合にも非課税となります。
例えば、控除対象配偶者と扶養親族がいない場合の一定の基準(基本額)は、
1級地(35万円)、2級地(35万円×0.9)、3級地(35万円×0.8)と級地区分に
よって異なります。
 この級地制度は生活保護法に基づき、所在地域別に3級地6区分制をとり、
地方自治体単位でそれぞれ級地区分を指定しています(厚生労働省HP参照)。

4.所得割なし、均等割あり
一方、所得割には級地区分はなく、上記のような条件で非課税となる場合の基準は
35万円ですから、合計所得金額が35万円以下の人には所得割は課税されません。
しかしながら、2級地の場合の基本額は35万円×0.9=31.5万円、3級地の場合の
基本額は35万円×0.8=28万円となり、合計所得金額が35万円を下まわって
所得割が課税されなくても、均等割の4,000円が課税されることがあります。

                                             

渋谷区 税理士

網の目細かくする改正税法
 6月30日公布された3党合意23年度税制改正法では、従来の税制の中の制度的
杜撰さや逆用され易い欠陥を補強するものがいくつか目につきます。

中間申告制度のあり方の変更二つ
① 前期確定法人税額が20万円以下では仮決算による中間申告書提出不可
② 前期確定法人税額の半分以上とする仮決算による中間申告書の提出不可
中小企業の7割は赤字申告です。赤字決算しか予定されないのに、半期の仮決算を
大きな黒字にして予定納税し、確定申告ではその全税額の還付を受け、
還付加算金を取得する、という一種の資金運用がありました。
これに封じ手が打たれました。

計算期間の変更で還付加算金の縮減
 予納税額・中間納付額・相続精算課税の贈与税の還付加算金の計算期間を、
還付決定後1ヶ月までの期間除外とし、通常の場合還付加算金は生じないようにしました。
 意図的資金運用としての還付加算金の取得は前項で排除し、経営悪化での
還付のケースも、予定納税等の減額手続きの意図的怠慢とみなして、
還付加算金の取得が排除されることになりました。

消費税免税事業者判定の基準二重化
 免税事業者判定には二つのハードルを越えなければならなくなりました。
① 基準期間(前々年基準)の課税売上高が1,000万円以下
② 特定期間(前年上半期基準)の課税売上高が1,000万円以下
消費税の基準期間主義の欠陥の補正です。課税売上が大きく変動する業種や
大きな景気変動に見舞われている企業が影響を受けることになります。
平成25年1月1日以後の開始事業期間から適用です。

消費税95%ルールの小規模企業限定
 課税売上割合が95%以上の場合の全額仕入税額控除の制度は売上5億円以下
の企業にのみの適用となりました。
 そもそも、非課税売上に対応する仕入税額控除を拒否し、損税の発生を強要
することは問題のある欺制であり、95%ルールがそれを緩和していたところです。
損税の強要の基準を5億円とするのは、卸小売、製造業では一桁低すぎる印象です。                                           
 平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用です。

                                              渋谷区 税理士

改正税法の重罰主義
 6月30日公布された3党合意23年度税制改正法で目立つのは、「故意の申告書不提出
によるほ脱犯の創設」で、申告納税に係る17の税法への新設です。
 これは重加算税というような行政ペナルティーの強化ではなく、犯罪としての懲役・罰金刑
の法定で、憲法の罪刑法定主義の要請による法定です。

17の税法の3様相
① 新法は2ヶ月間の周知期間経過後の行為に対して適用されます。
② 所得税法に限っては、平成23年分以後の所得税に係る行為について適用です。
③ 措置法に係る所得税・相続税の義務的修正申告の不提出もこの類型です。

ほ脱犯とは
ほ脱犯とは脱税犯のことです。故意犯なので、1) 納税義務の存在の認識 
2) 偽りその他不正の行為の認識 3)正当な税額の全部又は一部を免れる結果と
なることの認識、があるとされるとき対象になります。
個人については、懲役刑と罰金刑の両方が併科され、又、法人の場合には代表者等
に懲役刑、法人に罰金が科されることがあります。

重加算税との重複は?
 憲法39 条の「又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。」
との関連で、重加算税と併せて刑罰を科してもよいのか、の議論があるが、
確定した判例では是とされています。

憲法上の黙秘権と税法の調査協力義務
 立件を目的にする犯罪調査には憲法上黙秘権の行使が保証されています。
もちろん、一方で調査における協力義務の問題もあるので、境界が微妙です。
実務的にも、理論的にも、議論の多いところです。

「東京税理士界」機関紙の心配
納税者の権利は薄く、義務はあつく、質問検査権による調査は、事実上の強制調査
に変貌か、このようなタイトルの記事が機関紙「東京税理士界」2011年3月1日号の
11面にありました。
 これを怖れます。税務調査も、鋭く対立する場面が、場合・事案によっては避けられません。
犯罪調査に一転する可能性を秘めて税務調査に協力的に臨むことへの
相反的危うさがあります。

                                            

【渋谷区 税理士】

3党合意をうけて今年から創設適用
6月30日公布された3党合意23年度税制改正法の目玉は、
年金者の申告不要制度でしょう。毎年の早春の喧騒を彩る所得税の確定申告の
風物詩は、10数年前から「自書申告」のスローガンのもと、年金所得者の申告手続
の急増に備えていました。今年からは、それを更に進化させて、
「申告不要」ということにしてしまいました。

申告不要制度の対象
年金のすべてについて申告除外ということではありません。制度創設の趣旨は、
年金者への利便を唱ってはいても、行政サイドの少額多数者対象事務コストの削減です。
年金者でも高額少数者に対しての申告義務の解除はまったく予定していません。
その線引きは、
① 年金の種類は公的年金等に限定
② 収入金額が400万円以下
③ それ以外の所得金額が20万円以下
です。年金の平均収入より高いので、年金者の7〜8割を申告不要対象に
しようとしています。

申告不要は税の非課税や減免ではない
 申告不要で税の減収は予定していません。税収は確定申告手続きによってではなく、
源泉徴収や特別徴収の手続きによって確保する予定です。
 とは言え、今までの年金に係る源泉徴収票では税額の算出過程が不透明で、
その正確性のチェックがどの程度のものなのか疑問の多いところでした。

扶養親族等申告書の提出を承けて
源泉徴収の税額は、年金受給者が提出する扶養親族等申告書の記載内容によります。
ただし、その記載が正しいか否かを年金支払機関はチェックしません。
給与所得者の扶養控除等申告書についても同じです。提出されたものを正しいもの
として信じて源泉徴収等の事務処理をするだけです。不正記載への罰則もありません。

源泉徴収事務の強化が主眼か
年金には年末調整のような課税所得を精算する場がなく、年金支払機関も複数の
場合が多く、正確な計算が困難です。そんな中で申告不要の導入をするとなると、
源泉徴収による税の確保が要所となります。今後はそこの制度改善が
クローズアップされてきそうです。

                                            

【渋谷区 税理士】

当初の内閣提出の税制改正案は
 通常国会の初期に出されていた当初の平成23年度税制改正案は、衆議院で立往生
していましたが、その一部が、自公民3党合意案として分離され、6月22日に国会通過し、
6月30日公布されました。
 3党合意に至らなかった残りの部分は、年度改正ではないタイトルに変えて引き続き
「所得税法等一部改正案」として衆議院で継続審議という立往生状態を続けています。


本年改正が断念されたもの
 そういう経過で、当初の税制改正案で今年の成案化が絶望視されているものは以下の通りです。今年の改正の目玉項目だったものの多くを含んでいます。
<個人所得課税>
・役員の給与所得控除の上限設定
・給与特定支出控除の見直し
・成年扶養控除の所得制限
(特定扶養親族・障害者等は存続)
・5年以下の役員退職金の1/2課税廃止
<法人課税>
・実効税率を5%引下げ
(法人税率30%→25.5%)
・減価償却の見直し(200%定率法)
・ 大企業欠損金繰越控除の2割制限

・中小法人に対する軽減税率の引下げ
(18%→15%)
<資産課税>
・相続税の基礎控除の引下げ、
税率構造の見直し
・贈与税の税率構造の緩和
・精算課税の孫への対象拡大
<国税通則法>
・納税者権利憲章の策定等の抜本改正


増税路線と権利保護の破綻
ここに列挙した税率軽減・贈与税以外の項目はすべて増税項目で、納税者権利保護も
その増税への不満忌避としての策にすぎません。
多分、今後は次々と新しい増税項目が毎年目白押しに出てくることになっていたのだと
思われます。消費税の税率アップが当面の切所ではありますが。
それが、最初の増税元年に破綻してしまったわけです。しかしながら、財務省は継続審議
として成案化を追求し続けています。来年2年分をまとめて増税改正できるか否かが、
今後のわが国の財務省主導の財政のあり様に、大きな影響を及ぼしそうです。

                                           

【渋谷区 税理士】

まずは相続に関する基本から
建物の賃借権もまた、他の財産と同じく相続の対象となります。しかし、居住用建物では、
当事者にそのような意識がある人は少なく、遺言や遺産分割協議書で誰に承継させるかを
明示しないままに推移しがちです。それで、そこに住み続ける相続人が契約更新に
あたって、賃貸人との間で、自らが相続したと新しい借主となって契約書を締結し直す例が
間々見られます。

相続人資格のない同居者等の立場は?
 もっとも、相続人であるならば、他の相続人が異議を述べない限り、特段困ったことは
起きないかも知れません。しかし、これに対し、これまで死亡した賃借人と一緒に
同居していた、あるいは、死亡した者の名前で賃借した部屋に住まわせてもらっていた
内縁の妻、事実上の養子等近しい関係にもかかわらず相続人資格がない者
(以下「同居者等」といいます)の場合は深刻です。彼らは貸主に対する関係で、
賃借人の地位を相続したと主張できないからです。  
しかし、そのような形式論だけで直ちに明渡請求を甘受しなければならないのでは、
余りに気の毒といえます。

居住用建物による建物賃借権の承継制度
そこで、借地借家法では、居住用建物の賃貸借で、賃借人が相続人なくして死亡した場合、
事実上の親族的関係として同居していた者は、相続と同様に賃借人たる地位を承継する
ことができると規定されています。

相続人がいた場合には問題が残る
しかし、上記の規定は、下線で強調したように相続人がいた場合は適用がありません。
そうすると、死亡した賃借人の賃借権は相続人に承継されます。
この点、賃貸人に対する関係では、裁判所は、昔から相続人の持つ賃借権を援用して
賃貸人に対抗できるという理屈付けで同居者等の立場を保護してきました。
これに対し、当の相続人が、同居者等における居住の継続を望まず、自ら明け渡し
請求をする、賃貸人との間で合意解除する、あるいは、わざと家賃滞納をして解除させる
という手段で追い出しを図ることが考えられます。そうした場合には、同居者等の保護は
図られません。何らかの立法的解決が待たれるところですが、経済的・感情的対立が絡み、
大変な難問です。

                                            

【渋谷区 税理士】


養老保険は、積み立て型の保険で、満期保険金と死亡保険金が受け取れます。
そこで国税庁は、法人契約の養老保険の取り扱いを以下のように通達しました。
① 満期保険金も死亡保険金も法人が受け取る場合→保険料は、全額資産計上
② 満期保険金も死亡保険金も従業員やその遺族が受け取る場合
  →保険料は、その従業員の給与
③ 満期保険金は法人だが死亡保険金は従業員の遺族が受け取る場合
  →保険料の1/2は資産計上、1/2は保険料。但し一部の役員又は従業員の場合は給与

しかし4つ目は気がつかなかったのか?
④ 満期保険金は従業員 死亡保険金は法人の場合は、どう取り扱うのでしょうか?
従来このような契約が無かった為、国税庁の通達にも、明確に謳われておりません。
上記③より類推すると、1/2は給与・1/2は保険料(経費)と考えられます。
この取り扱いも物議を呼んでおりますが・・・

更に、受け取った満期保険金の計算は?
満期保険金は、従業員が受け取りますから、受け取った満期保険金は従業員の
一時所得となります。

一時所得の計算は以下となります。
(満期保険金−支払い保険料−50万)÷1/2
ここで問題となっているのが、支払い保険料です。この支払い保険料は、本人が負担した分
(④で給与とされた分)か?会社負担分も含めた全額か?

国税庁の通達では全額!!
国税庁の法解釈である通達の所得税基本通達34-4では、明快に「支払を受ける者以外の者
が負担した保険料又は掛金の額も含まれる」と記載されております。

裁判所も二転三転
福岡高裁で2009年に出された判決は、全額を認めていますが、2010年12月に
同じ福岡高裁で出された判決は、通達の解釈が間違っているとして、本人負担分しか
認めませんでした。
これを受けて2010年12月22日「23年度税制大綱」では支払い保険料は本人負担分
とする旨を明確にしようとし、2011年6月22日の国会で成立しました。
                                             【渋谷区 税理士】

配偶者特別控除とは、所得者が生計を一にする配偶者(合計所得金額が76万円未満の人に限ります)で控除対象配偶者に該当しない人を有する場合に、その所得者本人の所得金額の合計額から38万円を限度として控除するというものです。

※1.配偶者控除の適用をうけている人は、配偶者特別控除の適用を受けることができません

※2.夫婦の双方がお互いに配偶者特別控除の適用を受けることはできません

※3.配偶者特別控除を受けようとする所得者の合計所得金額が1,000万円を超えている場合には、この控除を受けることができません

配偶者特別控除額の計算

 配偶者の合計所得金額

 控除額

 380,001円〜399,999円

 38万円

 400,000円〜449,999円

 36万円

 450,000円〜499,999円

 31万円

 500,000円〜549,999円

 26万円

 550,000円〜599,999円

 21万円

 600,000円〜649,999円

 16万円

 650,000円〜699,999円

 11万円

 700,000円〜749,999円

 6万円

 750,000円〜799,999円

 3万円

給与の支払者(会社)は、毎月の給与の支払い日に『源泉徴収税額表』によって所得税の源泉徴収をすることになっていますが、その源泉徴収をした税額の1年間の合計額は、給与の支払いを受ける人の年間の給与総額について納めなければならない税額(年税額)と一致しないのが通常です。

一致しない理由は、①源泉徴収税額表は、年間を通して毎月の給与の額に変動がないものとして作られているが、実際は年の途中で給与額の変動があること ②年の中途で扶養親族等に異動があっても、その異動後の支払いから修正するだけで、遡って修正を行わないため ③配偶者特別控除や生命保険料、地震保険料の控除などは、年末調整の際に控除されるため

このような不一致を精算するため、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足を求め、その差額を徴収又は還付することが必要になります。この精算の手続きを『年末調整』と呼んでいます。

青色申告の特典を受けるには、青色申告承認申請書の提出がされていることが前提になります。

青色申告特別控除

・控除金額は? 

 所得金額から最高で65万円を控除することができます。

・条件は?

 不動産所得、事業所得を営む人が、帳簿書類を備え付けて、一切の取引内容を詳細に記録している場合

・不動産所得と事業所得の両方がある方の場合は?

 65万円の青色申告特別控除は、その年分の不動産所得の金額から控除し、控除しきれない金額があれば、その控除不足額を事業所得の金額から順次控除します。

青色事業専従者給与の必要経費算入

 不動産所得、事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が青色専従者給与に関する届出書に記載した方法に従って、その記載されている金額の範囲内で青色事業専従者に給与の支払いをした場合には、必要経費に算入されます。

青色事業専従者の要件 

(1)青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること

(2)その年12月31日現在で年齢が15歳以上であること

(3)青色申告者の経営に専ら従事していること

※青色事業専従者に該当し、給与の支払いを受ける人は、控除対象配偶者又は扶養親族とはなれません。

◆ 扶養親族の見直し
     子供手当の支給に伴って扶養控除の見直しがあります。

    ・年少扶養親族(扶養親族のうち16歳未満の者)に係る所得控除 
     38万円がなくなります。住民税は33万円がなくなります。

    ・特定扶養(扶養親族のうち16歳以上23歳未満の者)のうち、16歳以上19歳未満
     に係る上乗せ部分が廃止されます。
     所得控除 63万円 → 38万円 となります。
     住民税   45万円 → 33万円  となります。

  <適用時期>  
     
平成23年分以後の所得税、平成24年分以後の住民税について適用されます。

 平成18年の改正以降、個人事業から法人成りを考えていらっしゃる方から多数の相談を受けます。

 個人事業から法人成りをすれば節税が可能になりますが、すべての方に法人成りを勧めてはおりません。

 法人成りしたことによるメリット、デメリットをお伝えし、よく考えて頂いた上で、法人成りするかどうか判断して貰っております。

個人事業から法人成りのメリット

消費税が2年間免除されます

 会社設立時の資本金を1,000万円未満で設立すれば、設立1期目、2期目の消費税を納付する必要はありません。その納めなかった消費税分の金額は、会社の利益になってしまいますので、ご注意下さい。

 3期目以降につきましては、通常通り、前々事業年度の売上金額が1,000万円を超えているかどうかで判断されます

欠損金の繰越控除が7年間あります

 『青色申告の承認申請書』を提出することにより、赤字を7年間繰り越すことができます。個人事業の場合は3年ですので、赤字の会社であっても、法人化したほうが得になります。

社会的信用がアップします

 『法人化したことによって、取引先が増えました』ということをよく耳にします。それをきっかけにして売上が伸びている会社を多数知っております。会社することにより今まで以上にしっかりやらなければいけませんが、しっかりやることにより、取引先、銀行等さまざまな所からの信用がアップします。

経営者の退職金を経費にできます

 個人事業者に退職金を支払うことはできません。ご存じではない方が多数ではないでしょうか?

会社を設立することにより、退職金を貰えることができます。当税理士事務所は、保険の代理店もやっておりますので、保険を使って退職金の準備を勧めております。

決算期を自由に決めることができます

 個人事業者の場合、1/1〜12/31が事業年度なりますが、法人は任意で事業年度を決めることができます。

 税務署への申告が、決算日から2か月以内ですので、仕事の繁忙期が、決算日、申告日にならないように会社の事業年度を決めてもらっております。

融資を受けやすくなります

 会社の場合、新設法人用の融資というものがあります。資本金をご自身で用意して会社を設立していれば、とても融資が受けやすい状況にあります。

 会社を大きくするのは、設備投資、人材確保などは必要になってきます。そんな時に融資を受けてみては如何でしょうか?

 融資を受けやすくする為のアドバイス等も行っております。お気軽にご連絡頂ければ幸いです

助成金を活用しやすくなります

  助成金を貰うには、条件がありますが、条件を満たす方には、助成金を貰う為のアドバイスを行っております。

個人の財産を守れます

個人事業は無限責任だが、法人は有限責任

無限責任

 個人事業の場合、個人が自己責任で事業を行っておりますので、何かあったときの責任は個人事業主が負うことになります。

  つまり、個人事業に失敗した場合、個人の預金や家、その他の財産を処分して借金の返済に充てなければなりません。

有限責任

 会社は、株主に責任を負わせられるのは基本的に資本金の範囲までとなり、個人資産には影響ありません。

 ただし、借入等を行う場合、社長が連帯保証人になる場合があります。このような場合には、個人が責任を負うことになりますので、ご注意下さい。

国民年金から社会保険保険に変更になります

社会保険加入のメリット 

1、従業員の福利厚生

 社会保険は従業員にとってメリットの多い制度です。会社が社会保険へ加入することは従業員の福利厚生の充実につながり、優秀な人材を集めやすくなります。

2、手厚い給付

 労働保険はわずかな保険料で、仕事中や通勤中の事故によるケガの補償を受けることができます。

 その他、傷病手当金は、国民健康保険にはない、非常に有利な制度で、従業員だけでなく、役員であっても給付を受けることができるのです。

 

 

個人事業から法人成りのデメリット

 

◆会社設立費用が掛かります

 個人事業の場合は、税務署等に開業届を提出すれば、事業を開始することができますが、会社の場合はそうは行きません。

 資本金を準備しなければならない他、司法書士の先生の報酬も含めて28万円前後の会社設立費用が掛かります。
 

複式簿記による会計処理が必要になります

 複式簿記による帳簿が必要になる他、煩雑な税務申告書類の作成が必要になりますので、税理士への報酬の支払いが必要になります。
 

交際費の一部が制限されます
 

複式簿記による会計処理が必要になります

 複式簿記による帳簿が必要になる他、煩雑な税務申告書類の作成が必要になりますので、税理士への報酬の支払いが必要になります。
 

税務調査が入りやすくなります

 個人事業に比べて法人のほうが調査が入りやすいと思われます。

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税理士 鴻上 和秀

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