“パワーハラスメント”とは職場において上司が業務命令権限を背景に労働者の人格権を
侵害し、不合理な肉体的・精神的苦痛を与えることを言い、その結果円満な職場環境が
阻害されるため、近年労働問題のひとつとなっています。
しかし、この問題は“職場の安全配慮のための部下に対する注意”・“顧客ご満足のための
服装・態度などの注意”・“報告・連絡・相談など仕事の基本を守らないことへの注意”など
職場秩序を維持するために求められる管理監督者の行為と紙一重の関係を持っている点に留意して対処することが必要になります。
“パワーハラスメント”の原因
“パワーハラスメント”は、就業規則や服務規律を守らず、不安全行為・反顧客ご満足行為
などを繰り返し、職場秩序を乱す部下に対して上司などが過剰反応し、社会通念を超える
肉体的・精神的苦痛・懲罰・報復・村八分・退職強要などに発展する場合に、それを受けた
労働者側の反発等によって起きます。
判例上も「使用者においても是正のための改善努力をし、それにもかかわらず是正されず、
職場から排除しなければ適正な経営秩序が保たれない場合に初めて解雇が許されている」
(昭和58年・東京地裁判決)とされおり、使用者がその努力を怠ると“解雇権濫用”となり、
その解雇は無効となる恐れがあります。
経営者・管理監督者の留意点
“パワーハラスメント”を防止し、職場秩序を守るために次の点に留意して対策を取るべき
であると言えます。
1.自社の事業を円滑に進め、職場秩序を維持するために、安全で能率的な仕事がしやすい
物理的職場環境を構築するとともに就業規則・服務規律を整備する。
2.人事考課制度の評価項目に「執務態度・規律性など職場規律の維持に関する項目」を
設け、管理者を通じて社員に公表・説明するとともに、個人別の評価結果を少なくとも
年1回フィードバックする。
3.職場別に管理者が日常業務を通じて見過ごせないケースは個人別に注意を促すとともに、
全員に「顧客ご満足・安全管理・報告・連絡・相談など円滑な業務遂行にあたって
努力・協力すべきこと」を徹底する。
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